蛭川研究室ブログ 新館 ホームページ

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西暦2020年度は研究・教育が変則的になっています。詳細は以下をご覧ください。

お知らせ

【2020/06/27】
在宅研究時間割表」を更新しました。
【2020/06/19】
明治大学の活動制限レベルは現在「レベル3」にありますが、7月1日から「レベル2」に引き下げられます(→明治大学活動制限指針
【2020/05/27】
6月1日より駿河台の研究室での活動を再開する可能性については「6月1日からの入構制限措置等について」に書かれている内容で検討中です。詳細は5月28日に決定されます。
【2020/04/26】
リンクと引用の指針」を加筆修正しアップしました。
【2020/04/20】
研究・教育における遠隔通信」をアップしました。
【2020/04/15】
2020年度の研究・教育計画」をアップしました。
【2020/04/01】
2020年度の授業についてのページをアップしました。
【2020/02/03】
連絡先・アクセス情報を更新しました。
【2019/10/27】
来年度から再開する蛭川ゼミの紹介動画がアップされました。(→詳細

蛭川研究室ブログの構成

蛭川研究室ブログは旧館から、こちらの新館に移動しました。蛭川研究室ブログの新館は、このブログ自体と、以下の4個のブログの、合計5個の部屋に分かれています。

資料集 授業や研究発表のための資料集 公開
授業情報 明治大学での授業の時間割と内容 限定
著作アーカイブ 蛭川の著作のデジタルアーカイブ 限定
断片的覚書 その他の断片的なコンテンツ 限定

「授業情報」と過去の「著作アーカイブ」については、著作権上の問題もあり、パスワードをかけています。

「断片的覚書」も、内容が私的であり学術的な信頼性にも欠くので、これも一般公開はしていません。

学術的な公共性がある記事は「資料集」にアップし、パスワードをかけずに公開しています。このブログ自体も一般公開しています。

連絡先

〒101-8301
東京都千代田区神田駿河台1-1 明治大学研究棟 221号室

お問い合わせは、以下のアドレスに電子メールでお送りいただくのが、もっとも確実です。
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連絡先・アクセスの詳細はこちらをご覧ください。

「なぞなぞ認証」について

いくつかのページには、はてなブログ特有の「なぞなぞ認証」という、軽いパスワードをかけています。

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上記のような画面が表示される場合には、指示に従ってパスワードを入力してください。パスワードをお忘れの場合は、お手数ですが想起していただくか、上記メールアドレスまでお問い合わせください。詳細は「『なぞなぞ認証』について」をご覧ください。



CE2019/02/25 JST 作成
CE2020/06/27 JST 最終更新
蛭川立

【重要】西暦2020年度の研究・教育計画

2020年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)[*1]の影響により、新年度業務の開始が変則的になっている。

蛭川が行う研究・教育活動について、とくに例年との変更点について、このページにまとめておく。

明治大学としての対応は、随時「新型コロナウイルス感染症に関する明治大学の対応について」にアップされていくので、こまめに確認しておくことをお薦めしたい。

現在、明治大学では授業は行われておらず、入構制限が行われている。原則として教職員は入構でき、学生は入構できない。

【5月24日追記】5月22日、明治大学では、6月17日までとしていたオンライン授業の期間を、7月29日まで延長することを決定した。いっぽうで、5月25日に、外出自粛をともなう緊急事態が解除された場合、外出はできるが大学には入れない、という矛盾した状況になってしまう。引きつづき最新情報を見ながら適宜、試行錯誤しながら進んでいきたい。

現状を踏まえた研究・教育活動

遠隔授業をどのように行うか、経済的、心理的に困窮している学生諸君に対してどのような援助ができるか、等々、大学教員として急ぎ取り組むべきことは多い。

同時に、今まで学び、研究してきた知識や経験を活かした活動も積極的に進めていきたい。

  • 学部学生の時ではあるが、実験遺伝学やウイルス学の研究室で生物学を学んだこと
  • たまたま人類学的な調査の途中ではあったが、中国でSARSの事件に巻き込まれたこと
  • 原発事故のときに認知バイアスや科学コミュニケーションについて学んだこと
  • 情報系の学部で情報化社会の問題について考えてきたこと

知識や技能が各方面に広く浅く、どの分野のスペシャリストでもないが、それを浅くても広いと前向きにとらえれば、異なる研究分野間、研究者とそれ以外のコミュニティの間の橋渡しのような仕事ができればと考えている。

現在までの感染症の状況について、自分なりに体験し考察したことは「ウイルス感染症にかんする考察」にまとめおり、随時更新中である。

学術研究の応用的な側面にばかり目を奪われて本来の基礎的な研究活動ができなくなってしまってはいけないが、現在進行中の状況を踏まえながら、今までの研究・教育活動にフィードバックしていきたい。

研究計画

研究については、自宅で、一人で、パソコンを使ってできる仕事が多いので、しばらくは、その形態で続ける予定。研究室に泊まり込んで研究をすることも検討しているが、セキュリティ上の問題があり、実現していない。

2020年度の特定個人研究費による研究テーマは、意識状態と身体感覚である。17年前に中国で発熱し生死の境をさまよった経験を思い出しつつ、臨死体験の研究は続けていきたい。

今年は電子情報化社会が加速することが予想されるが、中断していたバーチャルリアリティの研究も再開する予定である。

教育計画

明治大学では新年度授業の開始が遅れている。昨年度末の時点では4月22日から開始の予定であったが、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の発令、および緊急事態の延長を受け、いつまでオンライン授業を続けるのか、議論があったが、春学期いっぱい、7月29日(水)まで延長されることになった。教室での授業は、9月の秋学期からとなる予定である。

学年暦の詳細は「明治大学 2020年度 学年暦. 新型コロナウイルス感染症対応変更 更新版」にアップされている。

ただし、感染症流行の予測は難しく、スケジュールはさらに変更される可能性がある。

蛭川の担当科目のうち、講義科目は昨年度以前から、講義資料をこの蛭川研究室ブログにアップしているので、その点は、とくに変わることはない。

ゼミナール科目については、履修者が少ないため、ビデオ通話等での個別指導をはじめており、研究室にある資料を見ながら議論するという方法については、当面、延期する。

個々の科目の進行計画については「蛭川担当授業時間割 西暦2020年度」を参照のこと。

遠隔通信について

外出自粛・在宅勤務を支えるのが、インターネットによる遠隔通信である。リアルタイム動画通信などの技術への対応は「遠隔通信の技術と展望」にまとめておいた。

また、リアルタイム通信の場合は、事前に時間を決めておく必要があるが、都合のよい時間については「在宅生活時間割」にまとめておいた。

今後の見通し

事態が今後どのような経過を辿るのかを予想するのは難しいが、蛭川個人として「感染予測シミュレーションの検討」で検討している。



CE2020/04/01 JST 作成
CE2020/05/20 JST 最終更新
蛭川立

*1:病原体と感染症の用語については「SARS関連コロナウイルスをめぐる用語」にまとめておいた。

「お茶」は「麻薬」なのか ー京都相思茶会事件ー

この記事には係争中の裁判についての記述が含まれており、中立的な観点を欠いている可能性があります。事実関係にもとづく検証が必要とされています。

報道されたこと

西暦2020年3月、男子大学生とその友人が違法薬物を含む植物を購入し飲用、意識を失い救急搬送された。植物を売った男性が逮捕された、と報じられた。

www.nikkei.com
2020年3月21日「麻薬かお茶か?逮捕に波紋 原料に幻覚成分、京都府警」『日本経済新聞

www.kyoto-np.co.jp
2020年3月24日「麻薬成分含む『茶』販売、男を容疑で逮捕 サイト『薬草協会』運営」『京都新聞

報道内容を整理すると、以下のようになる。

  1. 2019年7月、京都在住の男子大学生とその友人がインターネット経由で樹木アカシアコンフサ(和名ソウシジュ)の粉末を購入し、これを茶にして飲み、意識を失うなどして救急搬送された。
  2. アカシアコンフサは麻薬取締法で規制されている成分、ジメチルトリプタミン(DMT)を含んでいる。
  3. アカシアコンフサの粉末を販売していたのは「薬草協会」を運営していた住所不定・農業の男性、青井硝子で、2020年3月3日に麻薬取締法違反(製造、施用ほう助)の疑いで逮捕されたが、お茶は麻薬ではないと容疑を否認している。
  4. 弁護人の喜久山大貴弁護士は、以下のように主張している。
    1. 茶にしてもDMTの結晶になるわけではない。
    2. 茶を麻薬と見なすことはおかしい。
    3. 自生する植物の所持や利用を禁止するに等しい。
    4. DMTは人間の血液や尿にも含まれている。

註解

その後、青井容疑者は起訴され、刑事事件として裁判が始まった。裁判の過程で、関連する情報が開示されはじめている。引きつづき情報を集めて独自に調査をしているが、追って加筆していきたい。

アヤワスカ茶と「アヤワスカ・アナログ」

アカシアにはDMTが含まれているが、DMTは経口摂取すると消化され分解されてしまう。じっさいに使用されたアカシア茶は、アカシアの樹皮に、MAOI(モノアミンオキシダーゼ阻害薬)であるモクロベミドを加えて作っていたらしい。

南米アマゾンの先住民が治療儀礼のために使っているアヤワスカ茶は、DMTを含むチャクルーナとMAOIを含むアヤワスカの二種類の植物を煮込んで作られる。青井被告は、日本に自生している植物を原料にして、アヤワスカ茶と同じ効能を持つ薬草茶(アヤワスカ・アナログ)を作ろうとしたのだという。

アヤワスカ茶はアマゾン川上流域の先住民の社会で治療儀礼のための薬草茶として使われてきたものであり、臨死体験に似た強い精神展開作用があるが、体験は主観的なもので、毒性はない。臨死体験者の多くが人生観の前向きな変化を報告しているが、近年の研究では、うつ病や不安障害を急速に改善するという結果が得られている。

心身に対して有害などころか、治療効果のある薬草を飲んで、意識を失って救急搬送されたというのは不可解である。もともとアマゾン先住民シピボの治療儀礼臨死体験について研究してきたこともあり、その研究の一環としても、事実関係の調査を進めている。

大学生は化学的に臨死体験を起こしてうつ病を自己治癒した?

さて事件の発端となった、上記報道内容の(1)であるが、男子大学生はアカシア茶を飲んだ後、不可解な言動をとりはじめたので、一緒にいた友人が驚いて救急車を呼んだのだという。しかし大学生は救急搬送された時点でも意識は失っておらず、すぐに退院し、現在も健康に暮らしているという。

最初に噂話として聞いたところでは、その大学生は心を病んでおり、ネットで購入した脱法ハーブを飲んで自殺未遂をはかったのだという話だった。残念ながら、じっさいに、そういう事故は少なくない。

ところが、情報の開示が進むにつれ、事実はそうではないらしいということがわかってきた。救急搬送された大学生は、たしかに心を病んでいた。しかし、心を病んで自暴自棄になっていたというよりは、自分がうつ病という病気だということを正確に認識した上で、よく研究して自分で治そうとして、そして成功したらしい。自殺未遂とはまったく逆の話である。

その大学生は、うつ病が悪化し、自殺念慮を抱くようになっていた。臨死体験をすると人生観が変わり、前向きに生きられるという研究を知り、臨死体験ケタミンやDMTなどの、治療抵抗性うつ病の治療薬によって引き起こされると考え、臨死体験を安全な方法で化学的に引き起こそうという、驚くような自己実験を試みたらしい。

アカシアにDMTが含まれるということを知り、アカシアの樹皮を「薬草協会」から購入し、服用したところ、たちまち数時間で自殺念慮が治癒してしまったらしい。これは、南米のアヤワスカ茶が難治性うつ病に対する応急措置として有効だという研究とも整合性がある。

臨死体験者はしばしば、宇宙的な体験の中で自らの人生の意味を再確認するというが、アヤワスカ茶の場合には、だいたい2〜3時間で、同様の意識状態になる。それは、基本的には安らかな体験なのだが、いくら知識はあっても、初体験では驚いてしまうだろう。どうやら、隣で見ていた友人が、様子が変だと、心配になって救急車を呼んだらしい。

なお現段階では、大学生が医者にかかっていたのか、どういう診断を受けていたのか、どういう薬を処方されていたのかは、わからない。もし抗うつ薬などの向精神薬とアカシア茶を同時に飲めば、セロトニン症候群のような重大な副作用が起こる可能性があるが、しかし、救急搬送先で身体の異常を治療したという記録はない。

ただし、この大学生と友人は未成年で、家庭裁判所で保護されている。本人に話を聞くこともできず、今のところ、詳しい情報はわからない。だから、以上の推測も、推測の域を出ない。

起訴から裁判へ

青井被告は起訴され、裁判が始まった。

事件番号、事件名「令和2年(わ)第316号等 麻薬及び向精神薬取締法違反幇助、麻薬及び向精神薬取締法違反」
 
被告人「青井硝子こと藤田拓朗」

この事件に関して「薬草協会」のサイトに「裁判の行方」という声明文が発表された。

4ヶ月も勾留されて途中何度か挫けかかりましたが
 
・一連の事件に犠牲者や被害者が出ていない。
 
精神科医の方から「自殺志願者から自殺衝動が抜けて元気になるという、極めて意義深く興味深い結果が出ている。もしこれで無罪が勝ち取れたなら、アヤワスカを利用した治療研究を一気に進めることができる」と打診があった
 
という二点により、最後まで争う決意を固めました。
 
争うといっても、悪いことを正当化しようとしたり言い逃れしたりするつもりはなく、「法律を解釈する」という知的なスポーツに興じる、という意味です。人道に悖ることをしたわけではないとはっきり言いきれるので、そのようなことも言えるわけです。
 
強制捜査をされて精神にひどい悪影響が出ている方々や、4ヶ月もの勾留で多大な損害が出たことはとりあえずいったん忘れて、スポーツマンシップにのっとり健やかに闘っていこうと思います。

裁判とは法律を解釈するという知的なゲームであり、スポーツマンシップにのっとり正々堂々と闘います、という選手宣誓である。担当の喜久山大貴弁護士は、これは本当の確信犯だ、というコメントを寄せている。

初公判は2020年6月8日に京都地裁で行われた。

以下、加筆続行中。



CE2020/08/02 JST 作成
CE2020/08/10 JST 最終更新
蛭川立

研究指導・来客対応の指針

ふだんは、研究指導や来客との話は、明治大学の研究室で行っている。資料があること、周囲を気にせずにゆっくり話せるというメリットがある。

もちろん、遠隔通信でもできることはできるのだが、資料を見ながら話すのが難しい。

研究室の外で

6月に入って、喫茶店などは再開しつつあるが、大学には教員じしんが研究上必要なときにしか入れないという制限が続いている。

茶店などで話をする場合についての注意事項をまとめてみた。

まず、混雑しているお店は避ける。周囲のお客さんとは距離をとる。

ウイルスは、唾液や鼻水などから感染するというから、マスクをする、飲食はしない、という点を心がけるのが良い。事前にヨード系の消毒薬でうがいをするのもよい。

茶店の場合、飲食物を注文しないわけにはいかないのだが、フタのついたカップからストローで飲むタイプの飲料なら、お互いの飲み物に唾液が入らないだろう。

たまたま手などの皮膚が接触してしまうかもしれないが、それ自体は問題ではなかろう。この場合、自分でアルコール消毒薬を持参して、まめに手を拭くのが良い。

インターネット環境

気候の良い季節になってきたから、天候がゆるせば、公園のベンチなどで話をするのもよいだろう。お店と違って、周囲の人に話を聞かれる心配がない、というメリットがある。これは研究室でも同じである。

紙の資料以外に、ネット上の情報が見られると便利である。スマホだと画面が小さい。ノートPCやタブレットを使う場合には、Wi-Fiが飛んでいる環境が良いが、スマホ経由でテザリングすることは可能。

下半身の問題

呼吸器の疾患だというイメージがあるが、消化器の問題もあり、下半身の問題も考慮しなければならない。

これは会う相手とは直接関係のない一般論だが、トイレを使うたびに消毒しているお店は少ないだろうが、自前で次亜塩素酸系の洗剤を持ち歩いていて、使用前、というよりは、使用後に噴霧してから流すという方法がある。手を洗うのはもちろんだが、これも、用を足した後、というよりは、用を足す前に手を洗うのがよいだろう。

下半身問題のついでに、これも公的な関係にある場合には関係のない一般論だが、性行為で感染する可能性も指摘されている。ただし、それ以前に、唾液と唾液が直接接触することが多いので、そのほうを気をつけるのが先だ、と言われている。この点については、ここで詳述する必要はなかろう。

余談ながら、ラテン系社会などでは、挨拶として(男性と男性以外は)頬にキスをするという習慣があるが、日本では考えなくてもよい問題である。下半身といえばもっと下のほう、日本人は家に入るときに靴を脱ぐ習慣があったり、あんがいそういうことが大事なのかもしれないとも思う。

消毒薬を持ち歩く

そのようなわけで、小さな容器に、ヨウ素エタノール、次亜塩素酸を持参していれば完璧かもしれないが、荷物が増えてしまう。薬品を使わなくても、うがいや手洗い、手拭きを心がけるだけでもじゅうぶんかもしれない。

リスクはゼロにならない

けっきょく、リスクをゼロにすることは不可能なので、気にしすぎるときりがない、ということは認識すべきだろう。



記述の自己評価 ★★★☆☆
(インターネット上の記事を参考にしたもので、学術的な正確さは保証されない。)
CE 2020/06/05 JST 作成
蛭川立

2003年雲南で発熱・2020年東京で発熱

この記事には医療・医学に関する記述が数多く含まれていますが、検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です[*1]。確認のための文献や情報源をご存じの方はご提示ください。

ここ数年で何回か発熱を伴う病気を経験したが、2003年4月と2020年5月の病気は下痢から始まり急な発熱が起こるという症状が似ている。周囲で同種の感染症が流行していなければ深く考えなかっただろうが、今回はどうしても比較考察してしまいたくなってしまう。

2003年4月には緊急状態下の中国、四川省から雲南省へと移動していた。検査をしていないので病名は不明。このころ中国ではSARS-CoVを病原体とするSARSが流行していた。(→「2003年、SARS流行下、中国での調査記録」)

2020年5月には緊急事態下の東京で外出自粛・在宅勤務をしていた。検査をしたいが今のところできないこともあり、病名は不明。現在、世界中でSARS-CoV-2を病原体とするCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)が流行している。

中国雲南省少数民族モソ人のダパ(祭司)に疫病平癒の祈祷をしてもらったのが2003年4月23日の昼で、その夜に急な下痢が始まり、そして風邪のような症状が続いた。そして17年ぶりに撮影した動画を発掘、編集してブログにアップした(→「雲南モソ人の祭司による疫病退散の読経」)のが2020年5月11日の昼で、なぜかその夜にも急な下痢が始まり、風邪のような症状が続いた。意味がありそうでなさそうなシンクロニシティである。

以下は症状の経過。平熱[*2]で症状がない場合は特記せず。

日数 2003年 2020年
-5 04/18 05/06
東京→四川 以下東京
屋台料理
-4 04/19 05/07
屋台料理 東大病院と明大駿河
-3 04/20 05/08
-2 04/21 05/09
四川→雲南  
-1 04/22 05/10
0 04/23 05/11
ダパの祈祷 ダパの祈祷を再生
夜、水様性下痢 夜、水様性下痢
体温上昇、37.3℃以上
1 04/24 05/12
体温上昇、38.0℃以上 体温低下、微熱
頭痛、筋肉痛、息苦しい  
2 04/25 05/13
平熱に戻る。喉の痛み 微熱、喉の痛み
3 04/26 05/14
喉の痛み 平熱に戻る。痰
4 04/27 05/15
息苦しい 軽い咳
5 04/28 05/16
寛解 微熱、内科で診療
6 04/29 05/17
雲南→四川 平熱に戻る
7 04/30 05/18
四川→福岡  
8 05/01 05/19
  食べすぎでむかつき
9 05/02 05/20
  喉の痛み
10 05/02 05/20
  寛解


消化器症状→発熱→呼吸器症状、という推移が共通している。

発病前にさかのぼると、2003年には、4月18日〜19日に四川省成都の屋台で食べた四川料理から何らかの病原体が感染した可能性がある。そもそもSARS-CoV雲南省のコウモリの糞便に由来するとされているが(→「SARS-CoV-2の起源と感染源」)発症したのは雲南省に移動した翌々日である。地元のガイドさんと「密切接触」をしていたのも二日間である。

2020年5月はずっと自宅軟禁状態で、ただし5月7日だけは本郷の東大病院に行き、ほとんど人の姿を見かけなくなった明治大学駿河台校舎で郵便物を受け取り帰宅した。保健所の人に「この1〜2週間で感染の疑いのある接触はありましたか」と聞かれたが、可能性があるとしたら東大病院ぐらいしかない。東大病院の窓口で話をしたが、院内での感染は報告されていないという。

新旧コロナウイルス感染症の場合、若くて健康な場合には発症しないか、軽症で終わることが多いという。急な発熱などの初期症状で終わってしまうので、他の病気と区別するのが難しい。

雲南で最初に下痢をしたときには、まずは食中毒だと思ったし、じっさいにそうだったのかもしれないから、抗生物質を飲んだ。息苦しく喉が痛かったが、標高2700メートルの高地でしかも埃っぽかったから、軽い高山病だった可能性もある。

持病の症状とも区別が難しい。出てくる症状として挙げられる倦怠感はいつもの過眠症の症状だし、鼻詰まりは副鼻腔炎の症状でもある。毎年3月から5月にかけてはスギ花粉症になるので、鼻水やくしゃみも出る。

何日も発熱したまま呼吸器症状が進んで重症化した場合、本格的な肺炎になるという。ただし、SARS-CoVよりもSARS-CoV-2のほうが弱毒化しているようで、発熱の基準も38.0℃、37.5℃である。

ふだんなら大して気にしない体調の変化も、感染症が大規模に流行しているという情報を知っていると、ことさら重大なことに思えてきてしまう。SARS-CoVSARS-CoV-2に連続して罹患し[*3]たのだろうか。

抗体検査を受ければ何かわかるのかもしれないが、今はまだ疑わしい軽症で終わってしまった人間まで抗体検査を受けられる体勢が整っていないらしい。東京大学アイソトープ総合センターの「新型コロナウィルスへの血清IgM,IgG抗体の定量的かつ大量測定プロジェクト」に問い合わせたところ、本当に新旧コロナウイルス感染症の両方に罹患して回復したのだとすれば、日本人としては希少なケースなので、すこし時間をかけて慎重に検討させてほしい、という返事を受けとった。

その後は、まだ連絡を受けとっていない。



CE2020/05/13 JST 作成
CE2020/06/05 JST 最終更新
蛭川立

*1:免責事項にかんしては「Wikipedia:医療に関する免責事項」に準じています。

*2:断り書きなしに「体温」といえば腋下で計ったもののことである→「体温の変化と体温の計測

*3:SARS-CoVに対して免疫を持っていればSARS-CoV-2にも罹らない(交差中和)という可能性も指摘されている(吉川康弘蛭川立宛私信(2020年5月20日)。また、Pinto, D., et al. (2020). Cross-neutralization of SARS-CoV-2 by a human monoclonal SARS-CoV antibody. Nature(2020年5月18日現在で印刷準備中)は最新の研究であり、「新型コロナウイルス: SARS-CoV-2中和抗体を, SARS-CoV-1患者由来モノクローナル抗体から発見」に、日本語による解説がある)が、免疫は三年ぐらいしか保たないという研究もあるらしい(長倉克枝 (2020). 「SARS-CoV-2ワクチン接種には、臨床試験開始から18〜24ヶ月はかかる」『人間とテクノロジー』(孫引き))し、それはSARS-CoV-2の場合でも同じことのようである。

インターネット情報の普遍性と著作権についての覚書

hirukawa-classes.hatenablog.jp
承前

私はNHKの『超常現象』という番組の制作に携わったことで、金銭を得ていませんが、DVDをいただきました。

今までは、その一部を、授業という、教育目的の、非営利の場で、紹介していました。

ところで、過去のテレビ番組は、インターネット上にアップされていることがあります。それを視聴することの是非を問うことは、難しい問題です。インターネットは、人類の営為の素晴らしい共有財産です。しかし、番組を制作した人、本を書いた人は、その対価として、給料や印税ををもらって生活しています。

たとえば『超常現象 2集 秘められた未知のパワー ~超能力~』は、NHKオンデマンドにアップされており、220円を払うと視聴できます。

www.nhk-ondemand.jp

しかし、過去に放映されたテレビ番組がインターネット上にアップされていることがあります。
http://www.at-douga.com/?p=12816
@動画

インターネット上のリンクは、学術論文や著作と同様、引用元の許諾を得なくてもURLを張ることができるという紳士協定になっています。このページには番組の動画がアップされていますが、このページの著者が制作者の許諾を得ているかどうかは、見ているこちら側からは、わかりません。

よく見ると、このページの動画は「youku」という別のサイトから引用したらしいことが、小さな字で書かれてあります。いわゆる孫引きです。

たとえば、物理的な物体、たとえば書籍について考えてみましょう。

本屋さんに置いてある本を、その場で手にとって読むのは、それは、立ち読みと呼ばれ、対価を支払う必要はありません。立ち読みには、明確な時間制限はありません。

本屋さんに置いてある本を、お金を払わずにお店の外に持ち出せば、泥棒をしたことになります。レジで代金を支払って持ち出せば、問題はありません。

では、たまたま、雑誌が電車の座席に置き忘れてあるのを見つけて、拾って読むのは、泥棒でしょうか。電車の中で読んだ後で、また座席に置いておいたら、どうでしょうか。拾ったものは落とし物として駅員さんのところに持って行くべきでしょうか。もし、持ち主が、忘れ物として届け出ていれば、その雑誌は持ち主の手に戻るかもしれません。

しかし、読み終わった雑誌を捨てるつもりで座席に置いたのであれば、持ち主を探し出すのは難しいでしょう。もし、ゴミ箱に捨ててある雑誌を取りだして読んだとしたら、どうでしょうか。(衛生的には清潔ではありませんが。)

あるいは、誰か友達に本を借りて読んだとしても、友達にはお金を払いません。それが、友情というものです。自分が持っている本をコピーすること自体は、自由です。本に書かれていることは情報であり、本という物質自体に価値があるわけではありません。だから、コピーしたものを、たくさんの人に無料で渡せば、著作権の侵害になります。同じ本を図書館で借りて読むのは、無料です。私立の図書館であれば、それは紳士協定というものでしょうか。公共の図書館であれば、税金を支払った対価だと考えられます。

NHKの番組を視聴するのは、無料です。それは、受診料を支払った対価です。民放の場合には、番組の間にCMが流れます。CMは観ないで目を休めるとか、それを録画して、CMを早送りして観ることは可能です。

このような議論を厳密に進めるほど、果てしなく続いてしまいます。じつに悩ましい問題です。

制作している人にとっても、より多くの人に観てもらうことは、嬉しいことでしょう。しかし、制作している人たちの生活を経済的に保証することや、そのアイディアや努力を評価し対価を支払うことも必要で、どこかでバランスをとる必要があります。

ただし、情報が無償で共有されること自体は、素晴らしいことです。物理的な物体であれば、オリジナルはひとつしかありませんが、デジタル情報であれば、劣化せずにコピーし、共用できます。このことは、デジタル社会の新しい未来なのです。



CE2020/05/22 JST 作成
CE2020/05/24 JST 最終更新
蛭川立