この記事には医療・医学に関する記述が数多く含まれていますが、個人の感想も含まれており、その正確性は保証されていません[*1 ] 。
この記事は特定の薬剤や治療法の効能を保証するものではありません。個々の薬剤や治療法の適法性については、当該国または地域の法令を考慮してください。
サイケデリック ス(精神展開薬・幻覚剤)が意識を変容させ神秘体験を引き起こすこと、そうした物質を含む薬草が世界各地で治療儀礼 として使用されていることについて関心を持ち、研究してきた。
サイケデリック スの精神作用にかんする心理学的な研究は、なかなか進んでこなかった。依存性のある精神活性物質と混同され「麻薬」として研究や使用が厳しく規制されてきたという理由もある。
しかし、2010年代から、サイケデリック スをうつ病 や依存症の治療薬として利用しようとする試みがじょじょに復活してきた。
個人的には緊急事態宣言下の在宅勤務で持病の睡眠リズム障害をこじらせ、抑うつ 症状が慢性化するようになってしまったのだが、このタイミングで、サイケデリック スに抗うつ作用があることに身をもって知ることができた。
シロシビン合法化の「オレゴン ・モデル」
オレゴン州 では2023年*2] から「サービスセンター(service center)」内でのシロシビンの合法的使用が始まった。
www.oregon.gov
シロシビンはスケジュールⅠの規制薬物であり、所持、施用、売買等は違法である。スケジュールⅠの物質は医療用の使用も認められていないが、サービスセンター内での使用は医療や宗教という目的外で認められている。使用に付き添うファシリテーター (facilitator)は医師、看護師、心理師のような臨床的な資格ではない。
アメリ カにおけるシロシビン・キノコの法的規制。灰色と水色の州は違法。青い点は非犯罪化した市区町村。紺色は非犯罪化に加えて免許制により合法化した州[*3 ]
全米ではまずオレゴン州 がシロシビン・マッシュルームの公式サービスセンターを認可し、コロラド州 が後を追っている。
違法薬物の個人使用を非犯罪化したオレゴン州 では、オピオイド の乱用が広がり、2024年9月より、また再犯罪化された。大麻 はすでに違法薬物のリストから外され、アルコールやタバコと同じ扱いになっている。
問題となっているのはフェンタニル などのオピオイド が主であり、シロシビンなどのサイケデリック スについては事実上の容認が続いている。そのため、サービスセンターでシロシビンを使用するのは、完全に合法で安全に使用することを望む高所得者 、州外・国外からの来訪者が多い。
2023年の春、旧知のビショップ・杉田・菜生子さんからファシリテーター の養成学校、Synaptic Institute[*4 ] に入学したいという連絡を受け、推薦状を書いた。
VIDEO www.youtube.com
「Greenzone Japan」が取材したシロシビンサービスの紹介動画
菜生子さんは2024年の春からオレゴン州 のファシリテーター としての活動を始めた。8月の夏休み期間に、シロシビンサービスを体験するために渡米することにした。9年ぶりの海外渡航 だった。
準備セッション
渡航 前に問診票に記入し、zoomによるインテークと準備(preparation)セッションを受ける必要がある。
統合=インテグレーション
セッション後には、ファシリテーター が対面、そして遠隔でクライアントと面談をする。これをintegration(統合)という。
従来より
サイケデリック 体験等の非日常的な意識状態から日常的な社会生活に軟着陸することは「
グラウンディング 」と呼ばれてきた。
サイケデリック 療法における「統合」においても、何年もかかる
心理療法 的な支持が必要になるだろう。
2024年4月から10月までのPHQ-9の推移
シロシビンセッション自体は8月23日と25日の2回だったが、それに先立って抑うつ 症状は軽快している。これは、オレゴン州 でシロシビンサービスが始まったという情報を知ってから、じっさいに参加することにして、事前の準備セッションを始めたという、一連の流れの影響でもある。過食や過眠のような症状は冬に悪化し、夏に軽快するという季節的な変動もある。
2023年にシロシビンサービスが合法化され、2024年にそれに参加することになったこと自体が沈滞した気分を改善させてくれたことでもあるので、シロシビンという物質を摂取した結果、「抗うつ作用があった」というだけではない。そもそも伝統文化の中でのシャーマニズム は、こうした社会的・神秘的な共時性 (意味を付与された偶然)を介して治療効果を発揮するものである。
記述の自己評価 ★★★☆☆
(つねに加筆修正中であり未完成の記事です。記事の後に追記したり、一部を切り取って別の記事にしていますが、遺伝情報のような冗長性が
ハイパーテキスト の特徴であり特長だとも考えています。)
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CE2024/08/20 JST 作成
CE2024/10/27 JST 最終更新
蛭川立