蛭川研究室

蛭川立の研究と明治大学での講義・ゼミの関連情報

「人類学A」講義メモ 2024/05/09

4月24日の講義で予告しましたが、一週間の休みをはさんで、今週はいわゆる薬物についてのお話をしようと思います。脳神経科学と生理心理学の基本を学ぶことができる題材でもありますし、実際の生活にも役に立つ知識です。

自分の研究の誤解を解きたいということでもあります。辺境の地の未開民族の幻覚植物の研究などして何の役に立つののですかという質問に対しては、まあ知的な好奇心や探究心で、むしろ役に立つとか立たないといった皮相的なことではなく本質的なところを研究するのが学問である、ということができます。それが今になって若者のひきこもり問題やうつ病の治療に役立つということであれば、一見、何の役にも立たない基礎的な学問が、意外なところで役に立つ、ということでもあります。

もうひとつ誤解されて困るのは、ヤバいドラッグ、危険な薬物の研究だと思われてしまうことです。あるいは、オカルトだとか怪しい宗教ではないかという誤解も多々あります。この、ヤバい薬物という偏見はどうやって作られてきたのかという、そこを釈明することからはじめてみます。