先週は会議の前後に掲示板を見ていたのですが、意外にコメントが出てきませんでしたね。もう一度、先週の講義ノートを貼り付けます。
ただし、もうそろそろ縄文時代の日本は離れて、南洋へ、ミクロネシアに行きましょう。この授業でお話ししていることは、私がじっさいに現地に行って住み込み調査をしてきた場所のことで(大昔には行けませんが、遺跡巡りはしています)撮影した動画などを見ながらお話できるといいのですが、それがちょっと掲示板方式ではやりにくいことです。しかし、もう今年度の授業も終わりが近づいています。竜頭蛇尾なところもありましたが、最後までこの方式で授業を続けます。
だいぶ前に書いた拙著の中の「貧しい〈北〉と豊かな〈南〉」に、もう一度リンクを張っておきます。
ちょっと場所が変わってアマゾンの先住民族のことを書いた記事の中にも「豊かな〈南〉の社会」という話を書いておきました。熱帯雨林気候でイモを主食としているという点で、遠く離れていても似たような社会です。
これは、ミクロネシアとかアマゾンとか、特定の地域のことではなく、グローバルに一般的な話ですが、文明が進歩するほど労働時間が長くなる、という経済人類学のパラドックスです。本を書いたのはもう二十年前ですが、AIが進歩してAIに職を奪われるという未来社会が現実になりつつあります。機械が進歩したら機械に仕事をやらせて人間は遊んでいればいいのに、現実にはブラック労働は続いています。なぜでしょう。これは、豊かさとは何か、という、豊かさの定義次第で答えが変わってくる問題です。
今年の授業はこれでいったんお休みになります。労働という「ケ」の時間が停止し、クリスマスからお正月という「ハレ」の期間になります。