この記事には医療・医学に関する記述が数多く含まれていますが、個人の感想も含まれており、その正確性は保証されていません[*1]。
この記事は特定の薬剤や治療法の効能を保証するものではありません。個々の薬剤や治療法の適法性については、当該国または地域の法令を考慮してください。
八月に十日ほど夏休みがとれました。世界に先がけて2023年から始まったオレゴン州保険局公式シロシビン・マッシュルーム・サービスに行ってきます。サイケデリック・ルネサンス=精神展開薬再合法化の最前線です。… pic.twitter.com/ghMvZcCZpL
— Tatsu Hirukawa / 蛭川立 (@ininsui) August 15, 2024
8月14日(水)出発6日前
東京はずっと蒸し暑い真夏日が続く。東南アジアにいるような錯覚にもおそわれるが、それにしても九年間、日本を出ていないし、最後に熱帯アジアに行ったのは、いつだったも思いだせない。
学部生向けの講義、人類学と心理学の二科目、前期末レポート千枚の採点を終える。前期の仕事、春学期の仕事は、これでひと区切り。
授業では自分の好きな研究のことを話しているのだし、レポートの内容もかなり面白い。面白いはずなのに、大量の採点作業で疲れてしまう。締切に間に合わないとまた事務に迷惑をかける、という焦りがネガティブ思考を生む。
8月15日(木)出発5日前
九年ぶりの海外旅行で、飛行機に乗って国境を越えるとはどういうものかもわからなくなるほどに脳が退化してしまった。脳のリハビリ。
飛行機に乗って未知の世界に飛んでいくのが毎年の楽しみだったし、事前に地図を見ながら、サバイバル用品や撮影機材を周到に準備をしていくのもワクワクする、はずなのだが、いままでは楽しいと思えていたことがどこか億劫で面倒で、そして不安でさえある。うつ病の診断基準を満たしてしまいそうである。脳が疲れて炎症でも起こしているのかもしれないが、そういうときにこそ、抗うつ薬としてのケタミンやシロシビンを試すチャンスでもある。
アシュランドとアップルゲート
まずは手書きで地図を書いてみた。地図はただ眺めるだけではなくて、鉛筆と消しゴムで、自分で描いたり消したりすると場所の地理関係がわかってくる。
前期試験の採点結果等々、本日締切の書類を大学に提出。そしてシロシビンサービスを受けるためにはオレゴン州保険局に、問診票やインフォームドコンセントなど、十種類の書類を英語またはスペイン語で提出しなければならない。細かい質問をチェックするのが大変。合法化するということは形式的な書類が…
— Tatsu Hirukawa / 蛭川立 (@ininsui) August 15, 2024
8月16日(金)出発4日前
東京は雨。もう八年も精神神経科に通っているが、まずは睡眠薬を補給するため、ではあるが、それよりも精神科医との議論が面白くて通っている。精神医学にもかなり詳しくなった。
医師「蛭川さん、いよいよ飛び立ちますな」
自分「はい事前の報告に来ました」
医師「飛行機に乗るだけでドパミン出ますな」
自分「はい九年ぶりですから元気になりたいです」
医師「でもセロトニンも必要ですな」
自分「はいセロトニンも」
医師「じつは蛭川さんは宇宙人じゃないんですかね」
自分「宇宙人だから何なんですか」
医師「飛行機で外国に行くよりロケットで宇宙に行くほうがいい」
自分「ではシロシビンを飲んできます」
医師「成功を祈る」
いつもの短い診察だが、最後に医師は立ち上がり、笑いながら敬礼をして見送ってくれた。
8月17日(土)出発3日前
IntegrationではSatyaサービスセンターからコメントが帰ってくる。
www.instagram.com
Twitterでは薬物政策を研究している丸山センセイとすれ違う。
オレゴン州ではフェンタニルによる死者が急増していると報道されていますが、それが非犯罪化の結果なのかどうかは他の州と比較してどうなのか、ですね。
— Tatsu Hirukawa / 蛭川立 (@ininsui) August 17, 2024
もちろん過量摂取する人を処罰すればいいという理屈はおかしいのですが・・・論文期待しています!https://t.co/xFSxRyZw2e
8月18日(日)出発2日前
27年前、1997年8月にオアハカ先住民マサテコの村でシロシビン含有菌類の調査をしたときの写真を掘り出しつつ、シロシビンとの再会のことを考える。
アステカシビレタケ(Psilocybe aztecorum)を撮影している自分の写真を発掘。オアハカ山中のウアウトラ・デ・ヒメネス村。忘却していた長期記憶の想起。 pic.twitter.com/AnYqaLjcLQ
— Tatsu Hirukawa / 蛭川立 (@ininsui) August 17, 2024
デルタ航空からオレゴントリップのリコンファームメールが来ました。羽田発。国際線は成田からという古い認識のままだったので危うく間違えそうに・・・(@@;) #Oregon2024 pic.twitter.com/Y8xKafJqeT
— Tatsu Hirukawa / 蛭川立 (@ininsui) August 19, 2024
じっさいに行って確かめてみようと思い立ち、わざわざ重たいスーツケースに荷物を詰めて、羽田空港第三ターミナルというところまで行ってみた。イスラームふうの帽子をかぶった人、中国語をやかましく喋る人たち、多民族的な世界があった。重たい体が軽くなった。
8月19日(月)出発前日
朝起きてみると左の手首が痛い。無理をして捻挫してしまったようだ。
出発直前になって先方、オレゴン州の関係者たちと連絡を取りはじめる。ファシリテーター、サービスセンターの人たちとは連絡がとれはじめた。ファシリテーターの養成学校の仕組みもわかった。
いっぽうで、オレゴン州保険局など行政、役所関係、あるいは大学、研究者、医師、心理師といった人たちとは関わりがない。オレゴン州公認のシロシビンサービスだというが、医師でも心理師でもない人たちが自主的に活動していて、州の保険局がそれを認可しているという構造らしい。
トップダウンではなくボトムアップな方式。菌糸のリゾームのあちらこちらから子実体が生えてくるといったイメージである。
九年ぶりの海外旅行に向けて、荷作り。スマホとノートPCを充電しながら、ほどほどにネットに接続して暮らせるように機材のチェック。
大学の研究棟は夏休みの改装工事中。真夏にトイレやエアコンが止まると、建物から逃げ出すしかない。研究室のコンピュータは高速有線LANに常時接続しているが、しばしアクセス休止。
— Tatsu Hirukawa / 蛭川立 (@ininsui) August 19, 2024
これからしばらくはノートPCとスマホで移動生活。ネット依存から離れるのには良いタイミングかもしれない。
→「オレゴン州シロシビンサービス訪問記 第1回」に続く。
記述の自己評価 ★★★☆☆
(日々その都度、思いついたことを書きとめているだけなので、文章は荒く、途切れ途切れです。学術的に価値がありそうなコンテンツは、できるだけ加筆修正して独立させます。)
*1:免責事項にかんしては「Wikipedia:医療に関する免責事項」に準じています。