12月4日の講義資料を、すこしだけ書きなおしました。
タイでの出家
まず最初に、具体的な体験談として「タイでの一時出家」を読んでください。その後、ほとんど同じ内容を『風の旅人』という雑誌に「チェンマイー時間の彼岸ー」というタイトルで書きました。内容が重複していますが、あわせてお読みください。
まずは体験。抽象的な理論は、あとから考えなおしましょう。
以下の内容は、12月4日ぶんと同じです。インド哲学と仏教思想、インド4000年の知恵、奥が深いです。リンク先を辿って、興味を惹かれるところだけでも読んでみてください。
目の前の世界は、幻である、などというと、いかにもインドの神秘、という感じがしますが、これは、年末年始には、バーチャルリアリティー(VR)という近未来技術と結びつけていきます。
インド哲学と仏教
仏教は、およそ2500年前、古代のインドで始まった宗教であり、むしろ哲学です。
古代インド哲学については、ブログ上に「古代インドにおける心物問題」という記事を書きましたが、書いたのがだいぶ前なので、書いている私じしんの理解が足りなかった部分があります。
上の記事から、さらに関連記事へのリンクがありますが、とくに「「東洋」は「近代の超克」を可能にするか」のほうに、インド哲学についてもっと詳しく書きました。こちらは、文中にも書いてあるとおり、イギリスのロンドン大学(ゴールドスミス・カレッジ)で客員研究員をしていたときに書いたものです。インドはイギリスの植民地だったのですが、逆に、イギリスではインド文化の研究が非常に盛んで、私もずいぶんと学びました。
それにしても、いきなり抽象的な哲学の話で、一読して、よくわからないことが多いでしょう。インド哲学などあまり身近ではありませんし、言っていることの内容が神秘的すぎて、何を言っているのか意味不明に思えても仕方がありません。インドの哲学は、仏教という宗教を通じて日本にも伝来しましたが、日本の仏教は日本古来からの祖先崇拝の道徳に吸収され、哲学という要素は希薄になってしまいました。
身体技法に支えられた思考技法
しかし、インドの哲学が西洋の哲学と違うのは、瞑想という実践によって裏付けられているという点です。
瞑想、ヨーガ、禅など、いろいろな言葉がありますが、ようするに、自分の外側にある世界ではなく、自分の内側にある世界をよく観察することによって、精神と身体の関係、宇宙と生命の意味を知るという、身体技法のことです。
身体技法という難しい言葉を使いましたが、つまりは音楽やスポーツのようなものです。本だけ読んでも身につきません。実践あるのみなのですが、逆にいえば、難しい本を読んで机上の空論をするだけの哲学よりは、体感的にわかりやすいのが、インド哲学の特徴でもあります。
瞑想(ヨーガ)については、「ヨーガと瞑想」に詳しく書きました。詳しく書きすぎて余計に難しくなってしまったかもしれません。
なぜか若い女性が美しい身体を求める健康体操として普及している「ヨガ」も、もともとは瞑想の一種であり、たんに健康でキレイな体を目指す、というだけではなく、自己を見つめることによって内面からキレイになる、という思想は受け継がれています。
CE 2020/12/04 JST 作成
CE 2020/12/11 JST 蛭川立