蛭川研究室

蛭川立の研究と明治大学での講義・ゼミの関連情報

アイヌ文化の博物館 ー二風谷と白老ー

この記事は書きかけです

21年前に『彼岸の時間』を出版したとき、後書きに、自分が行った場所のことしか書かなかった、とことわりつつも、北海道とカラハリ砂漠には行ったことがない、とも書いた。

その後、北海道には行き、アイヌ文化の片鱗には触れた。

hirukawalaboratory.hatenablog.jp

『彼岸の時間』も切り取って加筆してブログの記事としてアップしなおしている。自分が行って自分で見聞きしたことと、客観的、学術的情報は、分けて書きたい。

「あなたの先祖は北海道アイヌです」?

GeneLifeで自分のY染色体を解析してみた話は、以下の記事に書いた。 hirukawa-notes.hatenablog.jp 解析結果はD1a2aだった。アイヌ・縄文・琉球系である。2018年に23andMeで、もっと細かくD1a2a1a(D-M125)だという結果が出ていたので、それよりも荒い分析結果だった。カリフォルニアの23andMeのほうが専門的な研究に基づいており、解析精度が高いのである。

あらためて23andMeの解析結果を見なおしてみた。

「D-M125 縄文人の末裔であるアイヌは、現在では北海道の北部に住んでいる」(23andMeの解析結果)

あなたはアイヌ民族で、北海道の北部に住んでいる・・・というのは、解釈の絞り込みすぎだろう。

私は、おそらく大阪系の日本人であり、いまは東京に住んでいる。しかし、自分が縄文人の末裔であり、アイヌとも遺伝的に近い、というのであれば、違和感はない。(むしろ、母方のミトコンドリアDNAの分析結果がR11で、北インド系だという結果が出たほうが不可解である。)

二風谷

そして、初めての北海道旅行では、いきなり二風谷(ニブタニ)を目指した。

写真を整理しながら記憶を整理。

北海道でアイヌの文化の保存と整理を進めたのが、平取町二風谷の萱野茂さんだったのだが、すこし前に亡くなられた。

その後、お孫さんにあたる萱野公祐(カヤキミ)さんが「二風谷ヤント」というゲストハウスを始めた。

カヤキミさんは、自分がアイヌ文化の後継者であることを、ことさらに語ろうとはしない、慎重で賢明な人物である。

kayanokimihiro.com

2017年に二風谷ヤントがオープンしたときのカヤキミさんのブログ記事だが、これを読んで、ヤントに滞在しようと決めた。

ゲストハウス二風谷ヤント

二風谷は、ふつうの田舎の村という風情である。過疎化が進んでいるということもあり、人の姿もまばらである。

コンビニもなく、村の中には古い雑貨屋さんがあるだけで、買い物に行くと、レジのおばあちゃんが話しかけてきて、つい二十分も三十分も立ち話をしてしまう。

歩いて二十分ほどのエリアに、いくつも博物館がある。

150年前の家屋(チセ)が再現されている

沙流川歴史館の前にあるシマフクロウの彫刻

木彫師の高野繁廣さんの木彫り体験にも参加した。

シマフクロウをモチーフにした木彫り体験 左が見本、右が自作。差は歴然

老眼鏡を忘れたので手元の細かい部分が見えなかった。

スマホの自撮りばかりになってしまったが、自分で見なおしてみると、やはり縄文顔ではある。子供のころから日本人離れした雰囲気だと言われることがあったのだが、たしかにそういうふうに見えるかもしれない。

地元の人たちの写真がないのだが、もちろん村には人がいる。しかし、観光客に写真を撮られてネットにアップされるのを嫌がっている人が多いようだった。だからここには写真をアップしない。誰でも写真を勝手にネットに上げられるのは嫌だろう。

白老へ

二風谷についての記事は順次追加していくとして、ヤントに滞在中に、偶然というか必然というか、出会いがあった。

滞在二日目に、眼鏡をかけた、同世代の女性が宿にやってきた。寝室は男女が別だが、共用ルームで夕食のカップ焼きそばを食べているときに、その女性が話しかけてきた。

話をしているうちに、彼女が明治大学の大学院生だということがわかった。大学院には、あるていど歳を経てから進学してくる人も多い。私が明治大学の教員だと知って、彼女も驚いていた。

二風谷の萱野資料館に来て泊まっていくような人は、研究者であってもおかしくないが、自分の大学の院生というのは、驚いた。

彼女は明日、白老(シラオイ)に行くという。こうなれば同行するしかない。私も予定を変更し、タクシーを割り勘して白老に向かうことにした。日付が変わる前に札幌行きの予定をすべてキャンセルした。

調査半分とはいえ、自分のルーツを知りたいという個人的な旅のつもりだったが、けっきょくは大学院生の調査の現地指導になってしまった。どこまで行っても仕事である。

国立アイヌ文化博物館

白老には、もともとアイヌの観光村があったが、2020年に、国立アイヌ文化博物館=ウポポイとして再整備された。

ainu-upopoy.jp

国立アイヌ文化博物館の内観。窓の外に見えるのはポロト湖

(・・・引きつづき写真を整理しながら執筆中・・・)


記述の自己評価 ★★★☆☆ (つねに加筆修正中であり未完成の記事です。しかし、記事の後に追記したり、一部を切り取って別の記事にしたり、その結果内容が重複したり、遺伝情報のように動的に変動しつづけるのがハイパーテキストの特徴であり特長だとも考えています。)


デフォルトのリンク先ははてなキーワードまたはWikipediaです。「」で囲まれたリンクはこのブログの別記事へのリンクです。詳細は「リンクと引用の指針」をご覧ください。


CE2023/08/25 JST 作成
CE2023/09/21 JST 最終更新
蛭川立