蛭川研究室

蛭川立の研究と明治大学での講義・ゼミの関連情報

修士課程演習 西暦2023年度

春学期

修士課程のゼミは毎週火曜日に実施する。四限は基本文献の輪読で、五限は修士論文の進捗状況についてのディスカッションを行う。

シラバスで指定された教室ではなく、研究棟の研究室(221号室)または談話室で行う。

日程

日程 文献購読 修論指導
時間 15:20-17:00 17:10-18:50
04/11 展望 白鳥
04/18 休講 休講
04/25 第1章 白鳥 張ヶ谷
05/02 休講 休講
05/09 第2章 張ヶ谷 白鳥
05/16 休講 休講
05/23 第3章 長吉 張ヶ谷
05/30 第4章 白鳥 白鳥
06/06 第4章 張ヶ谷 張ヶ谷
06/13 第5章 長吉 白鳥
06/20 第6章 白鳥 張ヶ谷
06/27 第6章 白鳥 白鳥
07/04 第7章 白鳥 張ヶ谷
07/11 第7章 張ヶ谷 白鳥
07/18 第8章 張ヶ谷

サイケデリック・ドラッグ』

2023年度の春学期の輪読文献は『Psychedelic Drug Reconsidered』と決定した。

サイケデリック・ドラッグ』というタイトルの日本語訳もあるが、ところどころ、訳語に問題がある。

これは、訳者の配慮不足だけでなく、この分野が英語中心に進んできたもので、日本では研究が遅れており、日本語の概念が整理されていないという現状が原因でもある。

Psychedelicsという語でさえ、精神展開薬、精神拡張剤などの日本語もあれば、サイケデリックスというカタカナもある。語源のギリシア語に戻れば、プシュケーデリクス、となるはずである。

初版は1979年に出版されたもので、直訳すれば『サイケデリック・ドラッグ再考』である。1970年代には、すでに過去の研究を「再考」するしかない状況になっていたわけである。

1997年に刊行された第二版の前書きにも、MDMAの精神作用の再発見を除けば、残念ながらあまり付け加えることはない、と書かれている。

しかし、これを2020年代の日本で読んでみても、古さを感じさせない。というよりは、50年以上前にこれほどの研究が行われていたのが、ほとんど忘れ去られていたのだということに気づかされる。ルネサンス期の西欧人が、アラビア語経由で古代ギリシア学術書を知り、昔のほうが今よりも研究が進んでいた、と驚いていたのは、こんな感じかと想像してしまう。

その他の購読候補文献リスト

  • Blackmore, S., Troscianko, E. T. (2018). Consciousness: An Introduction (3rd. Edition), Routledge.
    • (和訳なし)
  • Godwin, M. (1994). The Lucid Dreamer: A Waking Guide for the Traveler Between Worlds, Element Books.
    • (ゴドウィン, M., 大瀧啓裕(訳)(1997).『夢の劇場―明晰夢の世界』青土社.)
  • Grinspoon, L., Bakalar, J. B. (1979, 1997). Psychedelic Drug Reconsidered (2nd. Edition).
  • Lilienfeld, S. O., Lynn, S. J., Lohr, J. M. (2015). Science and Pseudoscience in Clinical Psychology,2nd Edition
    • (リリエンフェルド, S. O.・リン, S. J.・ロー, J. M., 厳島行雄・横田正夫・齋藤雅英 (訳)(2007).『臨床心理学における科学と疑似科学北大路書房.)

秋学期

購読候補文献リスト

  • Bateson, G. (1972). Steps to an Ecology of Mind: Collected Essays in Anthropology, Psychiatry, Evolution, and Epistemology, University of Chicago Press.
  • Campbell, J. (1997). The Mythic Image, Princeton University Press.
    • (キャンベル, J., 青木義孝(訳)(1991).『神話のイメージ』大修館書店.)
  • Scotton, B. W.et al. (1996).Textbook of Transpersonal Psychiatry and Psychology, Basic Books.
  • Leach, E. (1989). Claude Levi-Strauss, Penguin Books.


  • CE2022/12/22 JST 作成
  • CE2023/06/27 JST 最終更新

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