蛭川研究室

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シロシビン含有菌類の共進化

この記事は書きかけです

果実に糖分が含まれているのは捕食者に食べられて種子を散布するための「延長された表現型」である。

シロシビンがウシなどの動物の糞に生えるのも同じような機能のために共進化してきたのかもしれない。

https://onlinelibrary.wiley.com/cms/asset/a3a94677-11e7-4bc1-913a-4e73768673d1/evl342-fig-0004-m.jpg   シロシビン含有菌類の系統樹と分岐年代[*1]

シロシビンを含有する菌類は、陸上での森林の発達と、哺乳類の放散の進化史と並行しているという。しかも、別の系統で独立に進化しており、遺伝子の水平移動が起こったことを示唆している。真核生物の間で遺伝子の水平移動が起こるメカニズムについては、まだよく知られていないが、レトロウイルスのようなものだろうか。

https://www.mdpi.com/pharmaceuticals/pharmaceuticals-16-00040/article_deploy/html/images/pharmaceuticals-16-00040-g001.png   シビレタケ属に含まれるトリプタミン[*2]

しかも、シビレタケ属などのキノコでは、シロシンやシロシビン以外に、MAOIも生合成されているという研究もある。

https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/cms/asset/047a8b21-3f11-467d-b6c1-1ba5a9eb4100/chem201904363-fig-5001-m.jpg

シロシビン含有菌類(緑枠)、アヤワスカ・チャクルーナ(青枠)におけるトリプタミン系物質の代謝[*3]

同じ植物の中でアヤワスカ茶のような成分の配合が行われているのだろうか。

hirukawa.hateblo.jp

同じラン藻の中で、PEAとMAOI(フィコシアニン)が含まれているという興味深い可能性についても別の記事に書いた。


CE2024/04/26 JST 作成
CE2024/04/26 JST 最終更新
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