この記事は特定の薬剤や治療法の効能や適法性を保証するものではありません。個々の薬剤や治療法の使用、売買等については、当該国または地域の法令に従ってください。
作用時間
現在、治療薬としてもっとも注目されているのはシロシビンのようだが、作用時間の点で、DMTは短すぎ、LSD、メスカリンやイボガインだと長すぎる、という単純な理由もありそうだ。
LSDとシロシビンの作用時間[*1]
心拍数など、生理的な作用
自我溶解など、心理的な作用
生理的な指標と心理的な経験はかなり一致しているが、シロシビンに比べると、LSDのほうが抜けていくのが遅いことがわかる。
「Psychonaut Wiki」(外部サイト)という、サイケデリックスに特化した情報サイトに、さまざまな物質の作用の強度や時間についての数字も載せられている。以下はこのサイトから作図した。
時間 | 効き始め | ピーク | トータル | 事後効果 |
---|---|---|---|---|
LSD | 15-30分 | 3-5時間 | 8-12時間 | -48時間 |
1V-LSD | 30-60分 | 3-5時間 | 8-12時間 | -48時間 |
シロシビン | 20-45分 | 2-3時間 | 4-6時間 | -24時間 |
メスカリン | 45-90分 | 4-6時間 | 8-14時間 | -36時間 |
DMT(喫煙) | 20-40秒 | 2-8分 | 5-20分 | -60分 |
アヤワスカ茶 | 20-60分 | 1-2時間 | 5-10時間 | -8時間 |
イボガイン | 30-180分 | 18-36時間 | ??? | -72時間 |
摂取量
治療抵抗性うつ病に対してはハイドーズのサイケデリックスを一服=一座建立、という方法がとられるが、いっぽうで少量を何週間も摂取するという方法、マイクロドーズも流行してきている。
たとえばLSDは切手のような紙に染みこませた形で流通してきたが、これは100〜200μgである。違法になった後のLSDの「紙」にはもっと少量しか染みこんでいなかったか、保存状態が悪くて分解が進んでいたのだとか言われているが、詳しいことはわからない。
質量 | micro | mini | low | midium | high |
---|---|---|---|---|---|
LSD | -25μg | 25-50μg | 50-100μg | 100-200μg | 200μg- |
シロシビン | -5mg | 5-10mg | 10-20mg | 20-40mg | 40mg- |
P. cubensis | -0.5g | 0.5-1.0g | 1.0-2.0g | 2.0-4.0g | 4.0g- |
DMT | -10mg | 10-20mg | 20-40mg | 40-80mg | 80mg- |
アヤワスカ茶 | -10ml | 10-20ml | 20-40ml | 40-80ml | 80ml- |
1V-LSDや1D-LSDのようなLSDのプロドラッグも同じように100〜200μg単位で流通しているらしい。これはサイケデリック体験をじゅうぶんに引き起こす量である。マジック・マッシュルームとして流通していたP. cubensisの乾燥重量としては2〜4g、シロシビン換算で20〜40mgに相当する。
LSDの場合、じゅうぶんなサイケデリック体験を引き起こすのは、約100μgであり、200μgを超えると、効果は頭打ちになる。これは、知覚の変容や神秘的合一体験など、体験の種類が違っても、だいたい同じである。なお、ホフマンが最初に意図的に摂取したのは250μgである。
私じしんはアヤワスカとシビレタケ(とくにミナミシビレタケ)とサンペドロと、それから1V-LSDと1D-LSDを[いずれも合法な地域と時代に]何度も試したことがある。イボガは服用したことはない。
アヤワスカについては、勧められるままに飲んでいただけである。シピボの先住民のところでは、小さなグラスに1/4ぐらい、だいたい50〜100mlぐらいの苦い液体を飲み干して、それでヴィジョンの世界に放り出されたから、じゅうぶんにハイドーズだった。クランデロに飲まされたアヤワスカの量が少ないとか、効きが足りないと感じたことはほとんどないから、毎回、DMTの効果が振り切れる以上の量を飲まされていたのだろうと、今となってはそう思う。
サント・ダイミの礼拝(trabalho)でも、同じぐらいの味の濃さで、同じぐらいの量を飲み、そして2時間ぐらいおきに「おかわり」があって、合計で3〜4杯を飲むことになっていた。それでも効果は弱く、歌って踊れるぐらいである。もっとも、踊りの輪から外れて横になると、やはりヴィジョンに巻き込まれそうになったから、意識の持ちようで精神作用が異なることを実感した。周囲で気分を悪くしている人に声をかけたり、礼拝の運営スタッフの手伝いという仕事(trabalho)をするようになると、自分じしんの意識はより明晰になると感じられた。
いくつかの研究をみると、アヤワスカに含まれるDMTの濃度は、おおよそ1mg/mlだというから、100mlなら100mgということになる。(もしアヤワスカを「マイクロドーズ」したいのなら、10ml弱、飲めばいいのだろうか。)
マイクロドーズ
サイケデリックスの効果が感じられるのは、標準量の1/5から1/10ていど、LSDなら約20μgである。体感されないぐらいの用量で摂取するのをマイクロドーズというらしいが、これはここ数年の流行であり、プラセボとの比較研究が進んでいる[*5]。
LSD Microdosing Kitwww.smplest.eu
非常に微小な量を計測するためには、物質をいったん水に溶かすという方法があるが、合法LSDアナログを水に溶かすためのキットも売られている。
記述の自己評価 ★★★☆☆ (つねに加筆修正中であり未完成の記事です。しかし、記事の後に追記したり、一部を切り取って別の記事にしたり、その結果内容が重複したり、遺伝情報のように動的に変動しつづけるのがハイパーテキストの特徴であり特長だとも考えています。)
デフォルトのリンク先ははてなキーワードまたはWikipediaです。「」で囲まれたリンクはこのブログの別記事へのリンクです。詳細は「リンクと引用の指針」をご覧ください。
CE2022/01/30 JST 作成
CE2023/05/14 JST 最終更新
蛭川立
*1:https://www.nature.com/articles/s41386-022-01297-2
*2: P. 12.
*3:Dose-response relationships of LSD-induced subjective experiences in humans.
*4:How to account for hallucinations in the interpretation of the antidepressant effects of psychedelics: a translational framework.
*5:The emerging science of microdosing: A systematic review of research on low dose psychedelics (1955–2021) and recommendations for the field.