蛭川研究室

蛭川立の研究と明治大学での講義・ゼミの関連情報

サイケデリックスの量と作用時間

この記事は特定の薬剤や治療法の効能や適法性を保証するものではありません。個々の薬剤や治療法の使用、売買等については、当該国または地域の法令に従ってください。


作用時間

現在、治療薬としてもっとも注目されているのはシロシビンである。じっさいには、朝の9時に始めて夕方の5時まで、8時間以内に終わらせるために便利だから、という単純な理由もありそうだ。

作用時間の点で、DMTは短すぎ、LSD、メスカリンやイボガインだと長すぎるのである。

LSDとシロシビンの作用時間[*1] https://media.springernature.com/full/springer-static/image/art%3A10.1038%2Fs41386-022-01297-2/MediaObjects/41386_2022_1297_Fig3_HTML.png?as=webp 心拍数など、生理的な作用

https://media.springernature.com/full/springer-static/image/art%3A10.1038%2Fs41386-022-01297-2/MediaObjects/41386_2022_1297_Fig2_HTML.png?as=webp 自我溶解など、心理的な作用

生理的な指標と心理的な経験はかなり一致しているが、シロシビンに比べると、LSDのほうが抜けていくのが遅いことがわかる。

Psychonaut Wiki」(外部サイト)という、サイケデリックスに特化した情報サイトに、さまざまな物質の作用の強度や時間についての数字も載せられている。以下はこのサイトから作図した。

時間 効き始め ピーク トータル 事後効果
LSD 15-30分 3-5時間 8-12時間 -48時間
1V-LSD 30-60分 3-5時間 8-12時間 -48時間
シロシビン 20-45分 2-3時間 4-6時間 -24時間
メスカリン 45-90分 4-6時間 8-14時間 -36時間
DMT(喫煙) 20-40秒 2-8分 5-20分 -60分
アヤワスカ 20-60分 1-2時間 5-10時間 -8時間
イボガイン 30-180分 18-36時間 ??? -72時間

摂取量

治療抵抗性うつ病に対してはハイドーズのサイケデリックスを一服=一座建立、という方法がとられるが、いっぽうで少量を何週間も摂取するという方法、マイクロドーズも流行してきている。

  LSDの摂取量による効果[*2]

たとえばLSDは切手のような紙に染みこませた形で流通してきたが、これは100〜200μgである。違法になった後のLSDのブロッターにはもっと少量しか染みこんでいなかったか、保存状態が悪くて分解が進んでいたのだとか言われているが、詳しいことはわからない。

質量 micro mini low midium high
LSD -25μg 25-50μg 50-100μg 100-200μg 200μg-
シロシビン -5mg 5-10mg 10-20mg 20-40mg 40mg-
P. cubensis -0.5g 0.5-1.0g 1.0-2.0g 2.0-4.0g 4.0g-
DMT -10mg 10-20mg 20-40mg 40-80mg 80mg-
アヤワスカ -10ml 10-20ml 20-40ml 40-80ml 80ml-

物質の量と効果について「Psychonaut Wiki」(外部サイト)などを参考にして表にすると、これぐらいの目安になる。(成人一人の体重が70kgぐらいを想定しているらしい。)

1V-LSDのようなLSDのプロドラッグも同じように100〜200μg単位で流通しているらしい。これはサイケデリック体験をじゅうぶんに引き起こす量である。

マジック・マッシュルームとして流通していたP. cubensisの乾燥重量としては2〜4g、シロシビン換算で20〜40mgに相当する。

また、流通しているイボガの根皮粉末に含まれるイボガインの濃度は0.6%から11.2%と、大きなばらつきがあるという実態調査がある[*3]

https://media.springernature.com/full/springer-static/image/art%3A10.1038%2Fs41386-023-01588-2/MediaObjects/41386_2023_1588_Fig1_HTML.png?as=webp https://media.springernature.com/full/springer-static/image/art%3A10.1038%2Fs41386-023-01588-2/MediaObjects/41386_2023_1588_Fig2_HTML.png?as=webp LSDの服用量と5D-ASC(上)・11D-ASC(中)・MEQ-30(下)の得点[*4]

LSDの場合、じゅうぶんなサイケデリック体験を引き起こすのは、約100μgであり、200μgを超えると、効果は頭打ちになる。これは、知覚の変容や神秘的合一体験など、体験の種類が違っても、だいたい同じである。なお、ホフマンが最初に意図的に摂取したのは250μgである。

私じしんはアヤワスカとシビレタケ(とくにミナミシビレタケ)とサンペドロと、それから1V-LSDなどのLSDアナログを[いずれも合法な地域と時代に]何度も試したことがある。イボガは味見ていどにしか服用したことはない。

アヤワスカについては、勧められるままに飲んでいただけである。シピボの先住民のところでは、小さなグラスに1/4ぐらい、だいたい50〜100mlぐらいの苦い液体を飲み干して、それでヴィジョンの世界に放り出されたから、じゅうぶんにハイドーズだった。クランデロに飲まされたアヤワスカの量が少ないとか、効きが足りないと感じたことはほとんどないから、毎回、DMTの効果が振り切れる以上の量を飲まされていたのだろうと、今となってはそう思う。

サント・ダイミの礼拝(trabalho)でも、同じぐらいの味の濃さで、同じぐらいの量を飲み、そして2時間ぐらいおきに「おかわり」があって、合計で3〜4杯を飲むことになっていた。それでも効果は弱く、歌って踊れるぐらいである。もっとも、踊りの輪から外れて横になると、やはりヴィジョンに巻き込まれそうになったから、意識の持ちようで精神作用が異なることを実感した。周囲で気分を悪くしている人に声をかけたり、礼拝の運営スタッフの手伝いという仕事(trabalho)をするようになると、自分じしんの意識はより明晰になると感じられた。

いくつかの研究をみると、アヤワスカに含まれるDMTの濃度は、おおよそ1mg/mlだというから、100mlなら100mgということになる。(もしアヤワスカを「マイクロドーズ」したいのなら、10ml弱、飲めばいいのだろうか。)

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LSD、シロシビン、アヤワスカの量と作用[*5]

マイクロドーズ

サイケデリックスの効果が感じられるのは、標準量の1/5から1/10ていど、LSDなら約20μgである。体感されないぐらいの用量で摂取するのをマイクロドーズというらしいが、これはここ数年の流行だが、ホメオパシーと同様、プラセボと区別できないという批判はある。

長期間の連続使用について、プラセボとの比較研究が進んでいる[*6]

LSD Microdosing Kitwww.smplest.eu

非常に微小な量を計測するためには、物質をいったん水に溶かすという方法があるが、合法LSDアナログを水に溶かすためのキットも売られているらしい。


記述の自己評価 ★★★☆☆ (つねに加筆修正中であり未完成の記事です。しかし、記事の後に追記したり、一部を切り取って別の記事にしたり、その結果内容が重複したり、遺伝情報のように動的に変動しつづけるのがハイパーテキストの特徴であり特長だとも考えています。)


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CE2022/01/30 JST 作成
CE2024/06/09 JST 最終更新
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