この記事は書きかけです。
スチュワート・ハメロフ先生と思いがけず二十年ぶりに再会した。お話を聞いて、やっとペンローズ・ハメロフの量子脳理論を理解しなおした。
波動関数が自己収束するという、これは本当にトンデモない考えである。意志は運動よりも500ms遅れることをもって、自由意志は否定されるとされてきた。ところがこの理論によれば、量子論的なレベルでは、そのていどの時間は「逆行」するので、だから自由意志は存在するのだ、というのである。
相対性理論と量子力学は「観測」によって客観的な絶対時間と絶対空間を問題の外に置く。
この現代物理学の二つの柱を、おおざっぱに説明してみる。
ニュートンの『プリンシピア』は絶対時空を「公理」としたが[*3]、カントは時空を「感性の形式」[*4]にすぎないとした。
量子力学
量子力学においては、不確定性原理によって、絶対時空を公理から外す。
真っ暗な部屋の中に物があっても見えない。手探りで探すと、触ると場所がずれてしまう。懐中電灯で照らせば明るくなるが、見るためには懐中電灯で照らさなければならない。照らすということは、光子をぶつけて、跳ね返ってくる光子を知覚することである。
それゆえ、物体の位置や運動は正確には観測できない。物体が重いほど影響を受けにくく、物体が早く動いているほど影響を受けにくい。
物体の運動量は、慣性質量(重さ)と速度の積であらわされる。そして、運動量と位置は反比例する。いいかえれば、[位置][運動量]=定数、となる。この定数がプランク定数である。プランク定数は0ではない。
これがハイゼンベルクの不確定性原理である。プランク定数が無視できるほど小さければ古典力学による近似ができるが、素粒子レベルでは無視できない。
次元解析を行うと、プランク定数の次元は
[位置]×[運動量]
となる。
これを、空間内での[位置]ではなく、時間軸上の[時間]との関係でみると
[エネルギー]×[時間]
となるから、不確定性原理の不等式は
と変形することもできる。
自然単位系
基礎物理定数のうち、重力方程式から導かれるのがGであり、電磁気にかんするマックスウェル方程式から導かれるのがεとμである。
その後、素粒子レベルで明らかになってきたのは、電気素量eの存在である。しかし質量にはこのような素量が存在しない。陽子と中性子の質量がほぼ同じであるのに対して、電子の質量は無視できるほど小さいので、化学においては陽子の質量〜水素の質量〜炭素の質量の1/12が分子量の単位として使用される。熱力学が統計力学に還元され、温度が運動エネルギーに還元されることによって、ボルツマン定数kが出現する。
そして、特殊相対性理論を象徴する定数がcであり、量子力学を象徴する定数がhである。
これで、普遍定数であるG、c、h、およびeが出揃う。
プランク定数は位置と運動量の積(位置と運動量の不確定性)でもあり、時間とエネルギーの積(エネルギーと時間の不確定性)としてもあらわすことができる。
相対性理論においては、光速度cを介して、以下のようにあらわされる。
つまり、時空は互いに虚実の関係にある。そして、その絶対値をとれば、
[時間]=[c-1]×[長さ]
という関係になっており、自然単位系で定義するように、c=1とすれば、
[時間]=[空間]
となる。
また、量子力学においては、プランク定数hを介して、エネルギーは
[時間]=[h][エネルギー-1]
という関係になっており、自然単位系で定義するように、h=1とすれば、
[時間]=[エネルギー-1]
となる。
記述の自己評価 ★★★☆☆
(講義用のノートであり学術的には正確ではありません。正確さを期してつねに加筆修正中であり未完成の記事です。しかし、記事の後に追記したり、一部を切り取って別の記事にしたり、その結果内容が重複したり、遺伝情報のように動的に変動しつづけるのがハイパーテキストの特徴であり特長でもあります。)
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*1:https://www.researchgate.net/figure/a-The-Libet-Paradigm-The-participant-makes-a-voluntary-action-and-reports-the-time_fig1_329136588
*2:
*3:ニュートン, I. 中野 猿人(訳)(2019).『プリンシピア 自然哲学の数学的原理 第Ⅰ編 物体の運動』講談社, 30-31.
(Newton, I. (1687). Philosophiæ Naturalis Principia Mathematica. Londini : Jussu Societatis Regiae ac Typis Josephi Streater.)
*4:「【文献】カント「空間について」『純粋理性批判』」を参照のこと。