「不思議現象の心理学」2021/05/28 講義ノート

資料集にアップしてある「プラセボ効果と象徴的効果」を読んでください。今週はこの記事を中心に質疑応答ができればと思います。

さて先週の講義ノートのうち、夜明砂、コウモリのフンが薬として飲まれているという噴飯ものの話は、切り出して「呪薬の論理 ーコウモリを例にー」という別記事にしました。講義ノートに書いたことで、後から読み返しても面白そうな話は別記事にしてアップしていきます。という講義ノートはいつの間にか口語調になっていますが、講義ですからしゃべり口調でいいでしょう。教材は文語調で、講義ノートは口語調で、書きわけてみます。また方針は変えるかもしれませんが、まあ、内容に変わりはありません。いや、しゃべり口調のほうが、ちょっとした余談も入れやすいですね。実際には文字で書いているのですけど、多少は文法的におかしくても大丈夫ですし、それは良いわけではありませんけど、教室講義が、もう長い間、できていませんから、その臨場感というのもお伝えできればと。

講義ノートは、教材へのリンク集で、リンク先の教材は、そこそこきちんと学術的な議論にしているつもりです。

さて前回は共感呪術という話で、コウモリの糞を食べると暗いところでも目が見えるという、そういう漢方薬の話をしました。その話の続きで、現代の共感呪術の薬、ホメオパシーに触れました。教材ページの最後のほうです。これはむしろ共感呪術とは逆で、病気の原因とされるものを服用すれば病気が治るという考えです。これはとても危険なように思えますが、ただ、現在、ホメオパシーと言われているものは、この病気の原因を、薄めれば薄めるほど効果があるという考えでありまして、原因となる物質や薬草を、ほとんどゼロになるまで薄めていますから、それで実質的に害のないものが流通しています。

そんなものがなぜ現代文明社会で流通しているかというと、逆に文明社会では、医学が行き過ぎた結果、それに対する異議というか、警鐘というか、そういう文化的な意味があるでしょう。医学が行きすぎて薬ばかり処方したり、製薬会社の利権のこと、自然食品や天然成分のサプリメントのほうがいいという考えも、これも医学的に正しいというよりは、文明が進みすぎた社会に生きる人たちの、自然に還ろうという思想ですね。

病気の原因を薄めて摂取すれば病気が治ると、これと似た考えに、ワクチンがあります。いまワクチンの大量摂取が進んでいるようで、これは身近な問題ですが、これは弱毒化した病原体を接種して、それに対する抗体を先に作っておこうという考えですね。そういう病気だけに効く方法ですから、たとえばタバコを吸うと肺がんになるから、少量のタバコを吸えばいいとか、そういう話ではありません。

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新型コロナウイルスワクチンについて ② | さいとう内科・循環器クリニック

ワクチンというと、基本的には、病原菌を弱めたものを接種して、あらかじめ抗体を作っておくという、そういう方法ですが、最近は、ウイルスと同じ塩基配列RNAを合成して、これで疑似ウイルスを作って接種するという、こういう新しい技術が急速に応用されているようですが、しかし原理は同じですね。弱めた病原体で、あらかじめ抗体を作っておいて、そうすると本物が来たときにも撃退できるわけです。

話がそれてしまいましたが、ともあれ今日の授業は「プラセボ効果と象徴的効果」を読んでください。この記事自体が冗長なのですが、おいおい整理していきます。



CE2021/05/27 JST 作成
CE2021/05/27 JST 最終更新
蛭川立