この記事には医療・医学に関する記述が数多く含まれていますが、その正確性は保証されていません[*1]。検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。この記事の内容の信頼性について検証が求められています。確認のための文献や情報源をご存じの方はご提示ください。
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2018年5月24日の体組成計計測値
2018年の5月に入って、体脂肪率が正常範囲の上限値である22%にまで下がった。このタイミングで、5月10日、終夜睡眠ポリグラフ検査を行った。去年の九月の検査で発見された睡眠時無呼吸は、ほぼ完全に治っていた。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群を疑って、吉祥寺睡眠メディカルクリニックを受診したのは、2012年のことであった。
www.tokyo-sleep.jp
パルスオキシメーターを装着してひと晩計測した。赤色光・近赤外線を反射させて、動脈血の酸素飽和度(SpO2)を測定する。
帝人の酸素飽和度モニタPULSOX®-Meシリーズ
試しにハタ・ヨーガの吸息の保息(antara kumbhaka)を行ってみたところ(→「瞑想時の脳波」)、酸素飽和度は95%まで下がった。脳が低酸素状態になると、神経細胞を保護するためにDMT(ジメチルトリプタミン)が分泌され、アヤワスカ茶を服用したときと同じような体験が起こると考えられている(→「DMTーありふれた構造の特異な物質」)。
この時にはとくに問題は見つからなかったが、精密検査のため、国立精神・神経医療研究センター睡眠障害センターを紹介された。
終夜睡眠ポリグラフ検査
2013年から2014年にかけては、イギリス、オーストラリアと、在外研究で海外に出ていた。帰国し、ようやく本格的な終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査を受けたのは、それから5年経った、2017年の9月である。これで、睡眠時無呼吸症候群や、周期性四肢運動障害・レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)などが発見できる。
(左)センサー着用前、「「終夜検査の様子」を自撮りしようとしている様子」を自撮りしている凜々しい姿
(右)センサー着用後の無残な姿
(国立精神・神経医療研究センター病院三階南病棟)
国立精神・神経医療研究センターで終夜睡眠ポリグラフ(PSG: polysomnography)検査を行った。心電図用の電極と、脳波、手足の動きを計る筋電の電極が貼りつけられ、胸部と腹部には呼吸の度合いを測る帯が巻かれ、鼻には呼吸を計測するセンサーなどをつけられる。天井に設置されたカメラ(右上)で、寝ている閒、ずっと撮影される。
こんなものをつけて眠れるはずがない。ふとんの中で悶々と時間を過ごす。イライラして我慢できなくなった。「こんなものをつけて眠れるはずがない。みんな、立ち上がろう」と言って、立ち上がって鼻のセンサーをちぎり捨てた。驚いて飛び起きた。夢だった。本当に鼻のセンサーを外していた。ナースコールのボタンを押し、スタッフを呼び出す。睡眠薬を飲ませてくれた。そして意識を失っているうちに検査は終わった。
この精密検査で、睡眠時無呼吸が見つかった。いびきが酷く、寝ている間に呼吸が止まってしまう、という病気である。
終夜睡眠ポリグラフの結果。午前0時から1時にかけて、酸素飽和度が下がっている。
拡大図。呼吸が乱れ、酸素飽和度が67%まで下がっている。
AHI(無呼吸低呼吸指数)、つまり一時間あたり呼吸停止の回数が20回をこえると、保険適用による治療の対象になるのだという。
AHIの値を20で分けた場合の生命予後[*4]
AHIが20以上の状態を10年も続けていれば、生存率は半分になるという。その原因は、おもに循環器系の疾患である。
CPAP
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:経鼻的持続陽圧)という、睡眠中に喉に空気を送り込んで、いびきをかかないようにする、そういう装置を、毎晩つけて寝ることで、閉塞性睡眠時無呼吸の症状は抑えることができる。
CPAPは人工呼吸器のような装置で、これをつけて寝るのは、かなり邪魔になる。慣れないと、かえって眠れなくなる。
www.philips.co.jp
フィリップスのCPAP「ドリームステーション」
毎晩の計測結果は、無線でフィリップスのサーバーに送られ、クラウド経由で病院からアクセスできる。
データはスマホのアプリからも見ることができる。
2018年4月17〜18日のAHI(無呼吸低呼吸指数)は6.9。グラフは直近の7日間の値。
呼吸停止の回数、AHIは、CPAPによる治療開始前の、毎時23回よりは大幅に改善している。毎時5回が治療の目安である。
肥満の改善
睡眠時無呼吸症候群を積極的に治療する確実な方法はない。たるんだ喉を切除する手術もあるらしいが、かなり乱暴な方法なので、お勧めはできないと主治医の亀井先生は言った。消極的な方法ではあるが、一生、CPAPをつけて寝るしかないという。
小平にある国立精神・神経医療研究センター病院を退院し、新宿の晴和病院に移った。都心の病院で夜だけ過ごし、昼は出勤する「ナイト・ホスピタル」というプログラムである。
担当の主治医は、東大病院から来た上瀬大樹先生になった。上瀬先生は、脂質代謝と脳機能の関係に独自の見解をお持ちだった。
まずは肥満の改善から。肥満は万病の元だし、見た目も悪い。喉のたるみを減らすことで、いびきも改善できるかもしれない。
脂質よりは炭水化物を抑えるというダイエットを実行した。具体的には、米やパンをやめて、おかずだけをたべるといった方法である。
体重は、2015年には78kgで、これは英語圏での生活で脂っこいものを食べすぎたからでもあり、日本に戻ってからはだいぶ体重が減った。
CPAPをつけはじめた時に67kgだったのだが、さらに5kg減らして、62kgにまで落とした。78kgに比べれば、16kg減ったということになる。過食症が治ったということでもある。
2018年5月10〜11日のPSG検査結果(神経研究所付属晴和病院)
AHIは去年9月の23から2に激減した。5以下であれば睡眠時無呼吸は完治したということになる。
周期性四肢運動障害
今回の検査で異常値を示したのは、周期性四肢運動指数、つまり、寝ている間にどれぐらい脚が動いたか、である。毎時2.2から21.4回に増加しており、15回以上が、周期性四肢運動障害の目安になる。
鉄分の不足とドーパミンの不足が関係している可能性があるということで、血液検査を行った。鉄分は50μg/㎗で、男性の正常値である60〜210μg/㎗を下回っていた。しかし、鉄の蓄えであるフェリチンは162.2ng/㎖で、これは男性の正常値である21〜282ng/㎖の範囲内だったため、とくに治療するほどのことはない、ということになった。
薬を処方されるようなことはなかったが、ドラッグストアで鉄と葉酸のサプリメントを買い、服用するようになった。鉄は月経中に不足しがちであり、葉酸は胎児の神経系の発達に必要ということで、なぜかまとめて女性向けということになっているらしい。
精神・神経疾患との関係では、鉄の不足も葉酸の不足も、いずれもうつ病のリスクを高めるという研究がある[*7]。私じしんはうつ病とは診断されていないが、気分障害と睡眠障害には共通する栄養学的原因があると考えられている。
付記:睡眠時無呼吸の再発と再治療
その後、歳とともに体重は徐々に再増加し、2022年に入ったころには、また70kgを超えた。3月に人間ドックを受けた結果、高脂血症と脂肪肝が再発していた。
パルスオキシメーター、リングO2を購入した。
新型コロナウイルス感染症の自宅待機の症状を自己管理するということで、個人用のパルスオキシメーターが各種、出回るようになったが、指先に挟むタイプだと外れやすい。指輪型だと精度は悪いが、一晩中つけていても外れないという利便性がある。4月のAHIの測定値の最大値は20を超えていた。保険適用レベルである。そのタイミングで、以前に睡眠サプリのことで話をしていた、精神科医の江越正敏先生との再会があった。
www.fire-method.com
意外なことに、ファイヤークリニックという、ダイエット専門のクリニックを起業したのだという。飽食の時代、人々の痩身願望につけ入り、暴利を貪る悪徳商法、いかにも怪しい。江越先生とはずいぶん議論をしたが、その内容は、ここでは省く。
研究協力も兼ねてファイヤー方式の減量プログラムに参加し、2ヶ月かけて体重を10kg減らした。
2022年の前半の体重の推移
睡眠中にいびきをかいていた時間[*8]
AHI(血中酸素濃度の低下頻度)
5以下が正常値で、20以上が保険適用
減量と並行して、睡眠時無呼吸もふたたび改善。眠りも深くなり、朝の眠気もだいぶ改善した。
(もうすこし書き加えて整理します。)
記述の自己評価 ★★☆☆☆
CE2018/03/30 JST 作成
CE2022/07/04 JST 最終更新
蛭川立
*1:免責事項にかんしては「Wikipedia:医療に関する免責事項」に準じています。
*2:“いびき”は無呼吸への第一歩 | 守谷いびき・無呼吸センター(孫引き)
*3:RESEARCH サルの発声から見るヒトの言語の起源 | JT生命誌研究館
*4:無呼吸症候群|中島アレルギー・呼吸器内科クリニック(孫引き)
*5:宮本雅之・宮本智之・岩波正興・鈴木圭輔・平田幸一 (2009).「Restless legs syndromeの病態生理」『Brain and Nerve』61(5), 523-532.
*6:
*7:功刀浩・古賀賀恵・小川眞太郎 (2015).「うつ病患者における栄養学的異常」『日本生物学的精神医学会誌』26(1), 54-58.
*8: