蛭川研究室

蛭川立の研究と明治大学での講義・ゼミの関連情報

WEBに数式・化学式を組み込む

HTMLに数式を組み込む標準的な手法はまだ確立されていない。Wikipediaなどでも数式の画像を貼り込んだりという現状が続いている。

以下の文章は、自分が作業をするために書いたリンク集が元になっている。読者にとっても役に立つだろうと思う。

LaTeXをはじめ、MathML、MathJaxなどの方法が並行して使われている。はてなブログでは、今のところいちばん実績がありそうなTeX形式が使える。はてながアカデミックなブログとして優れている特長でもある。

はてな記法Markdown記法

はてなブログでは、HTML記法以外に、はてな独自のはてな記法と、Markdown記法が選択できる。この記事はMarkdown記法で記述している。

数式

TeX形式の数式は、従来のはてな記法では「[tex:〜]」で組み込むことができた。Markdown記法では「$$〜$$」でテキスト内に組み込めるはずなのだが、試してみると、なぜか、うまくいかない。

他のはてなユーザーの試行錯誤の記録を調べてみると、Markdown記法でも、どうやら「はてな記法」と同様[tex:〜]で書いて、さらに前後をHTMLの<div>で囲むと、なんとか表示されるらしい。

この方法で、たとえば「x\left( t{2}\right) -x\left( t{1}\right) =\int ^{t{2}}{t_{1}}\upsilon \left( t\right) dt」を囲んで記述すると、以下のように、位置と速度の式が表示される(はずである)。


x\left( t_{2}\right) -x\left( t_{1}\right) =\int ^{t_{2}}_{t_{1}}\upsilon \left( t\right) dt

ディスプレイスタイル

Latexの数式は、スタイル指定ができる。

mathlandscape.com

何も書かないとデフォルトでテキストスタイルになる。縦長の数式も一行の高さに圧縮される。ディスプレイスタイルを指定すると、縦長の数式がそのままの比率で美しく表示される。これを使うと「x\left( t{2}\right) -x\left( t{1}\right) =\int ^{t{2}}{t_{1}}\upsilon \left( t\right) dt」が


\displaystyle x\left( t_{2}\right) -x\left( t_{1}\right) =\int ^{t_{2}}_{t_{1}}\upsilon \left( t\right) dt

のように表示される。

化学式

化学反応式

数式と同じように、化学式もTeXを使ってあらわすことができる。

光合成と酸素呼吸の対称性をあらわす化学式は「6CO{2}+12H{2}O\rightleftharpoons C{6}H{12}O{6}+6CO{2}+12H_{2}O」となり、これを組み込むと、


6CO_{2}+12H_{2}O\rightleftharpoons C_{6}H_{12}O_{6}+6CO_{2}+12H_{2}O

のように表示される。

構造式

しかし、構造式をTeXで表現するのは、MyTeXなど

http://web.archive.org/web/20090224162250/http://www.klavis.info/xym.html

いろいろ試みられてはいるが、扱いがややこしい。IUPACのように分子構造を一行で表せる記法があり、すでにWEB上で表現できる記法も確立されているので、単純な分子なら技術的には可能だろう。あるいは、ポリペプチドのように、アミノ酸を単位とした表現もできるはずである。

さしあたり、いまのところは、画像を貼り込むという原始的な方法がいちばん簡単なようだ。

役に立つツール

数式エディタ

HostMathは、WEB上で数式を打ち込むとリアルタイムでLaTeX形式に変換してくれる。

www.hostmath.com

手書き数式・数式画像をTeXに変換する

もともと数式は紙に手書きだったものだが、ブラウザの画面にマウスで数式を書くとTeX形式に変換してくれたり、テキストに埋め込まれている数式の画像をTeXに変換してくれるなど、便利なツールが開発されている。

yagokoro-lab.com

上に書いたような、位置と速度の間の関係式を、そのまま「x\left( t{2}\right) -x\left( t{1}\right) =\int ^{t{2}}{t_{1}}\upsilon \left( t\right) dt」と打ち込むのは、非常に見づらく、面倒なのだが、手書きで積分の式などを書くと、それが魔法のようにTeX形式になってしまうのだから、使わない手はない。

TeX形式の数式テンプレート

よく使う数式や公式のTeX表記については、数式集のサイトにリストアップされている文字列をコピー・ペーストして使うと便利である。たとえば『物理のかぎしっぽ』は教育的なコンテンツである。

hooktail.sub.jp

hooktail.org