大麻の向精神作用と精神文化

この記事には医療・医学に関する記述が数多く含まれていますが、その正確性は保証されていません[*1]。検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。この記事の内容の信頼性について検証が求められています。確認のための文献や情報源をご存じの方はご提示ください。

この記事は特定の薬剤や治療法の効能を保証するものではありません。個々の薬剤や治療法の使用、売買等については、当該国または地域の法令に従ってください。

大麻の規制をめぐる情勢

大麻は国際条約で規制されている。しかし、2020年には、大麻は1961年条約で定められたスケジュールⅣ(最も危険)からスケジュールⅠ(二番目に危険)に格下げされた。(国際条約の詳細は「向精神薬に関連する国内法と国際条約」を参照のこと。)

しかし、国際条約は法律ではない。それぞれの国や州には、それぞれの法律があり、国際条約よりも厳しい法律を定めることができる。欧米先進国はすべて合法化が進んでいるわけではない。アメリカも州によって法律が違う。西海岸のほうはリベラルで、南部は保守という傾向がある。(保守が悪いというわけではない。アメリカにおける保守とは、プロテスタンティズムのことであり、禁欲と勤勉と美徳とするという点では、日本人の心性にも通じるところがある。)

「非犯罪化(decriminalization)」というのは、違法だが処罰しない、という、微妙で難しい概念である。たとえば日本では、賭博は違法だが、競馬や宝くじは非犯罪化されている。これは、政府の管理下で安全に行えば、反社会的組織の収入源にならず、むしろ税収になるからである。

またオランダなどで大麻が非犯罪化されている背景には「ハーム・リダクション(harm reduction)」という考えがある。これは、違法行為であっても、実際に行っている人たちを、単に処罰するのではなく、それ以上の害がないように保護するという、現実的な政策である。たとえば、オランダでは売春は違法だが、非犯罪化されている。売春を行うセックス・ワーカーを処罰するよりも前に、性行為感染症を防ぐために健康診断を行うといった政策である。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a5/Map-of-world-cannabis-laws.svg/1920px-Map-of-world-cannabis-laws.svg.png
大麻の少量所持に関する法的状況[*2]。合法(青色)、非犯罪化(黄色)、違法・罰則なし(桃色)、違法(赤色)

日本には「大麻取締法」という法律があって、大麻の所持が禁止されているのだが、なぜか使用は禁止されていない。心身に有害なものであれば、使用も禁止するべきだという意見が検討されているが、いっぽうで、大麻の使用も所持と同じぐらい厳罰にするのは世界的な趨勢に反している、たとえ有害な薬物であったとしても、処罰するよりも治療することのほうが重要だという反対意見もあり、議論が続いている。

大麻取締法、使用罪導入で合意 厚労省有識者検討会」[*3]と報じられたかと思いきや、「大麻「使用罪」創設で激しい議論 座長「反対意見も反映して国民に提示」」[*4]と報じられたり、今年の五月ぐらいから、有識者検討会では議論が大詰めを迎えているようである。

大麻の生物学

大麻、つまりアサは、バラ目アサ科の一年生草本である。「má」という読み方は、中国語由来であり「麻」という漢字は、屋根の下に麻が二本生えているさまをあらわす象形文字である。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f9/Cannabis_sativa_-_K%C3%B6hler%E2%80%93s_Medizinal-Pflanzen-026.jpg
アサ(Cannabis sativa[*5]

大麻(cannabis)の有効成分はカンナビノイド(cannabinoid)という物質群である。

https://media.springernature.com/lw685/springer-static/image/art%3A10.1038%2Fs41586-019-0978-9/MediaObjects/41586_2019_978_Fig1_HTML.png
カンナビノイドの生合成経路[*6]

大麻には100種類以上のカンナビノイドが含まれているが、とくに向精神作用を引き起こす物質としてはテトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC: THC: tetrahydrocannabinol)が、また向精神作用がなく医療用としての使用がもっとも普及してきたカンナビジオール(CBD: cannabidiol)などがある。

カンナビノイドは体内のカンナビノイド受容体、CB1(主に中枢)・CB2(主に末梢)に作用する。CB1受容体のアゴニストとして向精神作用を引き起こすのは主にTHCテトラヒドロカンナビノール)であり、また逆に向精神作用を持たないCBD(カンナビジオール)は法的に規制されておらず、サプリメントとして流通している。

https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/35/2e37bc8770add186ca3609562fbc16ce.jpg
カンナビノイドであるΔ9-THCとCBD(カンナビジオール)、内因性カンナビノイドであるアナンダミドの抗てんかん作用[*7]。(CBDには「多幸感」という副作用がないから良い、とも読めるが、幸せになることが悪い副作用なのだろうか。)

1992年には、カンナビノイド受容体を通じて機能する神経伝達物質が発見され、アナンダミド(anandamide)と命名された。インド哲学で超越的至福を意味する「アーナンダ(आनन्द ānanda)[*8]」と「アミド」の合成語である。

人間の脳の中にも、大麻と同じ作用をする物質が含まれており、リラックス、食欲増進といった、副交感神経が優位になったような状態をつくる。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/26/Truffe_nature.JPG
トリュフTuber melanosporum[*9]

さらに、アナンダミドは黒トリュフTuber melanosporum)の子実体にも含まれていることが発見された[*10]。黒トリュフの体内におけるアナンダミドの機能は不明で、むしろ捕食者であるイノシシなどに食べられ、報酬を与え、そして胞子を拡散させるために生合成されていると推測されている。

大麻に類似する作用を持つ植物

アナンダミド以外にもCB1受容体に作用する物質はサルビアやニンジンなど、多くの植物にも含まれている。

https://els-jbs-prod-cdn.jbs.elsevierhealth.com/cms/attachment/2119034689/2088317307/gr1.jpg
CB1受容体作動薬を含む植物[*11]

とくに、カヴァに含まれるヤンゴインは、THCとよく似た精神作用を示す。カヴァは南太平洋(メラネシアポリネシア)で、根を水と混ぜた飲料(華和茶)が儀礼的に使用されてきた(→「南島の茶道 ーカヴァの伝統と現在ー」)

同じCB1受容体アゴニストを含んでいても、大麻はインド文化の文脈では、とくに瞑想(ヨーガ)と組み合わせることにより、内面的探求を通じて普遍的な精神性を探求する薬草として使用されてきたのに対し、オセアニア文化の文脈では、カヴァは茶会を通じて社会的なつながりを確認するための薬草として用いられてきた。礼儀作法を重んじ、客人を「おもてなし」するところなど、日本の茶道と非常によく似ている。

また、サルビア・ディビノラムはメキシコ先住民マサテコが儀礼的に使用してきた薬草である。その有効成分であるサルビノリンAはκ-オピオイド受容体のアゴニストでもあり、解離性麻酔薬に似た作用を示す。

ニンジンに含まれるファルカリノールは、逆にCB1受容体の拮抗薬である。さらに、マカアンデスで精力剤として使用されてきた薬草だが、亜鉛を多く含んでいるためである。

大麻の危険性と有用性

大麻は酒やタバコよりも害が少ない、というが、それは本当だろうか。

どんな薬物でも、その危険性は量と使い方次第である。たとえば大麻もタバコも、喫煙すれば肺に悪いし、受動喫煙という害もあるが、喫煙という使用方法が危険だというだけで、カンナビノイドやニコチンという物質の危険性とは区別されるべきである。

インドでは大麻をヨーグルトに混ぜてラッシーにしたバングという飲料があり、これには喫煙の害はない。ただし、ニコチンは経口接種すると危険である。

依存性という点では、大麻よりも酒やタバコのほうが依存性が高い(→「薬物依存」)。

大麻は様々な身体疾患に有効であり、医療大麻の研究も盛んに行われているが[*12]、この記事では、身体的な作用については割愛する。精神的な作用としては、大麻には弱い精神展開作用がある。使用すると一時的に知覚や意識が変容するので、その状態で自動車を運転すれば危険である。これは、飲酒運転でも同じである。

大麻には、THC(テトラヒドロカンナビノール)などの、弱い精神展開薬(minor psychedelics)が含まれている(→「精神展開薬」)。リラックスするいっぽうで、視覚や聴覚や味覚が敏感になる。風景や音楽がより深く感じられる。

受動的な精神状態になり、能動的に行動しようという意欲が減るため、毎日のように大麻を喫煙している人は、何もせずにボーッとしているように見える。これは「無動機症候群」と呼ばれ、統合失調症陰性症状に類似した疾患だという解釈もある。

しかし、美的世界に耽溺したり、内面世界を探求している状態を外から見て、何もせずにボーッとしている病気とするかどうかは、文化的な価値づけだともいえる。また、社会的には無動機でいられる、つまり日々の労働から自由であるからこそ大麻ばかり吸って過ごせるという、逆の因果関係もありうる。

精神展開薬は意識状態を変容させるので、「精神病」(統合失調症、躁病)の症状を悪化させたり、遺伝的素因のある人(人口の1〜2%程度だと推測されている)を発病させてしまうリスクがあり、リラックスしながら内省的になるので「神経症」(うつ病、不安障害、PTSD)は改善するとされる。

カンナビノイドの場合にも「精神病」を発病・悪化させるリスクがあり、これを「大麻精神病」と呼ぶこともある。「神経症」については、改善するという説もあるが、むしろ悪化させる危険性も指摘されている[*13]

大麻の文化史

大麻の起源と伝播

日本では、海外では大麻が文化的に一般化していると言われることが多いが、そういう文脈における海外とは、たいがい欧米のことである。しかし、大麻はもともと中央アジア原産の植物であり、インドや日本は神聖な植物として扱われてきた。

https://www.researchgate.net/profile/Barney-Warf/publication/266083497/figure/fig2/AS:667032324431872@1536044307096/Historical-diffusion-of-Cannabis-Sativa.png
アサ(大麻)の起源と伝播。日本には縄文時代に渡来した[*14]
 
https://media.springernature.com/original/springer-static/image/chp%3A10.1007%2F978-3-319-54564-6_1/MediaObjects/418623_1_En_1_Fig7_HTML.gif
Cannabis sativaCannabis indicaは別の種とされることもあるが、Cannabis sativaの亜種とされることもある[*15]
 
https://media.springernature.com/m312/springer-static/image/art%3A10.1007%2Fs12229-015-9157-3/MediaObjects/12229_2015_9157_Fig25_HTML.gif?as=webp
大麻北インドを中心に瞑想(ヨーガ)の補助として用いられてきたが、東アジアでは繊維材料として普及した[*16]

インドの大麻文化

北インドでは、大麻は自生しているが、原則として違法である。しかし、伝統的な宗教文化の文脈における使用は、例外として規制の対象外となっている。

インドでも、大麻を喫煙する文化があり、葉から造られるマリファナガンジャ(ganja)、雌しべから作られるハシシはチャラス(charas)と呼ばれるが、これは、瞑想的放浪生活をする行者が吸うものであり、彼らは社会の外部に出家した存在なので、一般には法律の外部にいる人たちだと認識されている。

また、カンナビノイド脂溶性で、水には溶けないので、カンナビノイド脂溶性で水に溶けにくいので、ヨーグルトに混ぜてバング(bhang)というラッシーにして飲用することもあり、こちらのほうが一般人には馴染みが深い。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/9f/Process_of_making_bhang_in_Punjab%2C_India.jpg
バングは政府公認の売店で管理されて販売されている。[*17]

バングは、とくにシヴァ・ラートリー、ホーリーという、インドの大晦日、正月(西暦で2〜3月ごろの新月と満月)のような祭でヒンドゥー教徒たちによって飲用される。

f:id:hirukawalaboratory:20210601150021j:plain
大麻の葉を練ったもの。
 
f:id:hirukawalaboratory:20210601150151j:plain
できあがったバング・ラッシー

私じしんも、ガンジス川の最大の聖地、ヴァーラーナシーで、シヴァ・ラートリー(シヴァ神の夜)という日の祭りに参加したことがある。日本でいえば、大晦日の夜に年越し蕎麦を食するように、善男善女が屋台でバングを一服する。その後、寺院に詣でて鐘を鳴らし、世界の破壊と再創造の神、シヴァ神を讃えるバジャン(bhajan:賛歌)を歌い、そしてガンジス川のガートで初日の出を拝み、聖なる至福、アーナンダを垣間見る。(その体験談は「ガンジスの砂の数ほど」というエッセイの前半に書いた。自らインドやネパールで撮影した写真や動画は大量にありすぎて整理しきれていないが、追って追加していきたい。)

まばゆい太陽が、ほぼ真東から姿を顕し、河原の無数の砂粒を、無数の砂粒の数にひとしい人間たちを祝福するように、惜しみなく照らし出していく。全世界は昨夜破壊され、今朝、再創造されたのだ。朝陽にきらめくガンガーの神聖さは、言語で表現できるものを超えていた。

「ガンジスの砂の数ほど」[*18]

f:id:hirukawalaboratory:20210601033107p:plain
ヴァーラーナシーのチョウサティー・ガート(←左のリンクをクリックすると上の写真のようなGoogleストリートビューにジャンプします。ヴァーチャル聖地観光をお楽しみください。ただし、インドではピンポイントの風景は楽しめても、道に沿って移動することができないところが大半です。)ガンガーでは川岸の沐浴上をガートという。
 

ガンジス川最大の聖地ヴァーラーナシー(वाराणसी / vārāṇasī)
(地図を衛星写真に切り替えてズームアップしてもストリートビューに着陸できます。)

バングを服用すると、音が大きく聞こえたり、光が眩しく感じられたり、時間や空間が伸び縮みするような知覚の変容体験が起こることもあるが、このような「幻覚」体験は表層の知覚体験であり、大麻を瞑想的に使用することで、より深層の、超越的な意識状態に近づくことができる。

vimeo.com
シヴァ・ラートリーの光景(Alex Liebertによるイメージ映像)[*19]

大麻は、広義の精神展開薬は(psychedelics:サイケデリックス)に分類されることもある。精神展開薬は幻覚剤とも呼ばれるが、「幻覚剤」というのは表面的な呼称である。精神展開薬には、自己の内面世界を増幅する作用があり、それは、セット(当事者の心構え)とセッティング(接種する文脈)によって大きく変わる。

大麻の精神展開作用は比較的弱いので、そのぶん多様な使用が可能である。インドの精神文化の文脈で使用すれば、インド的な瞑想世界が体験されるし、また少々嗜めば、娯楽的に使うこともできる。頽廃的な文脈で使用すれば、「濫用」することもできてしまう。

日本の大麻文化

大麻(オオアサ)は古くより日本にも雑草のように自生してきた植物であり、絹や木綿が普及するまでは、繊維材料として重宝されてきた。

f:id:ininsui:20210601000258j:plain
アサの茎[*20]から繊維を剥く伝統的な技法。同名の三木立さんに誘われて体験ワークショップに参加。素人なので、腰が入っておらず、アサの繊維がピンと伸びていない(2009年9月21日:三木武夫記念館)

縄文土器の「縄文」は、アサから作られた「縄」で模様がつけられていたと考えられる(→「縄文文化の超自然観」)。神道においても「大麻」は神聖な植物だとされてきたが、ただし、飲用したり喫煙したりという形で、宗教儀礼で用いられていたわけではない。神道においては、むしろ酒が酩酊飲料として用いられてきた。

明治時代から第二次大戦まで「印度大麻」(Cannabis indica)が睡眠薬や喘息の薬としても使用されていたが、これは海外から輸入されたものである。

https://www.greenzonejapan.com/wp/wp-content/uploads/2020/11/image5-1.jpg
印度大麻Cannabis indica)は戦前には鎮静剤、喘息の薬として使用されていた[*21]

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cannabisty/20200428/20200428203620.png
ぜんそくたばこ 印度大麻煙草小林謙三 東京神田区表神保町 知新堂薬店」(読売新聞、1895年(明治28年)11月14日、朝刊5ページ目)[*22]

日本では1948年に大麻取締法が制定され、大麻の所持が禁止されたが、使用は禁止されていない。また、大麻取扱者の免許をとれば、大麻を栽培することができる。


追記:大麻精神病と関連する物質誘発精神疾患について

大麻が「大麻精神病」という精神疾患を誘発する可能性については、まだ結論が得られていないが、だれもが大麻で精神に異常をきたすのではなく、おそらく統合失調症(狭義の精神病)の遺伝的素因と関係しているらしい。

日本では、国立精神・神経医療研究センターの松本らによる調査があり、大麻の使用と精神疾患の間には相関関係がみられないという報告がある[*23]が、サンプル数が数十人と、限られている。大麻の使用が一般に広がっているイギリスで行われた数十万人規模の調査では、遺伝的脆弱性があると精神病的な症状が起こる可能性が指摘されている[*24]

一般に、メタンフェタミンなどドーパミンと関係する物質は統合失調症の陽性症状のような症状を引き起こしやすく、PCPフェンシクリジン)などグルタミン酸と関係する物質は統合失調症陰性症状のような症状を引き起こしやすい。大麻の有効成分であるカンナビノイド統合失調症の陽性症状のような症状を引き起こすのだとすれば、間接的にドーパミン作動性ニューロンと関係があるのかもしれない。同じような作用を持つLSDやDMTのようなサイケデリックス(精神展開薬)のほうは、もっぱらセロトニンと関係しており、作用機序が違うためか、精神病的な症状につながるリスクが低い[*25]

大麻を含まない、狭義のサイケデリックスには、統合失調症の陽性症状に似た疾患を引き起こす可能性があることが指摘されているが、大規模な統計的調査ではサイケデリックスの使用と精神疾患の傾向には相関がないか、逆に精神疾患とは弱い負の相関を示すものもある。とくに、精神展開薬が逆にうつ病や不安障害を改善するという知見はじゅうぶんに得られている。

ただし、もともとサイケデリックスを使用する人々は精神的に健康な傾向があり、横断的な相関関係からは縦断的な因果関係は推定できない[*26]。たとえば、ブラジル発祥の宗教運動であるUDV(ウニオン・ド・ヴェジタル)では、礼拝の場でDMTとMAOIを含有するアヤワスカ茶を服用するが、アヤワスカの服用と統合失調症的な傾向とは相関せず、やはり遺伝的な素因がある場合のみ悪化するかもしれないという調査結果がある[*27]。しかし、UDVに参加する人々は、もともと生活意識が高く、また、ふだんの生活でもアルコールやカフェインを含む向精神薬を使用しないという戒律があるため、DMTやMAOIのみの連用の効果を知る上では貴重だが、サンプルがもともと健康な集団に偏っている可能性もある。


【インタビュー動画】『大麻って依存するの?』

授業でアヤワスカやDMTの話をしても、アマゾンの先住民族が使っている薬草のことなど聞いたことがないという人が多いようですし、よく知らないものだからこそ、じつは、そのDMTは脳内でも合成されているのだ、とお話することに意味があると思っています。

その代わりに、海外留学から帰ってきた学生さんたちなどから、大麻って海外では普通なんですか?CBDって大麻なんですか?依存症にならないんですか?大丈夫なんですか?という質問がよく出てくるようになりました。

私の研究室の卒業生のriyo君、avexからメジャーデビューしてアヤワスカの歌を歌ったところ、立場が危うくなり…という、その彼が研究室にやってきて問答したことを、そのまま動画にしてアップしました。


www.youtube.com

人類学者として言えることとしては、海外、海外というときに、欧米ばかりを見ないで、同じアジアや非西洋圏の文化まで見てほしいということです。大麻はインドの伝統文化、宗教哲学との関わりが深いものですし、薬物の功罪は、それが使用される文脈とは切り離せません。このことは、後半で語っています。

大学教授だからといっても専門外の知識は確かではありません。依存性とは何か、非犯罪化とは何か、といった話もしていますが、医学や法学の方面では、ちょっとアヤフヤなことも言っています。喋りっぱなしの無編集動画ですが、間違いがあればご指摘いただければありがたいです。

処罰から治療へ、という対話の中で、沢尻エリカさんがavexを解雇された事件から、話が医療用MDMAに脱線して、ついつい熱く語ってしまいましたが、精神展開薬の心理療法への応用については、また続編を作ることになりました。



記述の自己評価 ★★★☆☆
(多岐にわたる内容が含まれており、またソースもwikipediaなどネット上の一般的記事が多く、学術的な内容としては不完全。逆に学術的に細かすぎることも書かれているので、大学学部レベルの参考資料としては不要な部分もあり、適宜、読み飛ばされたい。)

CE2021/04/26 JST 作成
CE2021/12/12 JST 最終更新
蛭川立

*1:免責事項にかんしては「Wikipedia:医療に関する免責事項」に準じています。

*2:大麻」『Wikipedia』(2021/06/02 JST 最終閲覧)

*3:無署名記事 (2021).「大麻取締法、使用罪導入で合意 厚労省の有識者検討会」『中日新聞』(2021/06/02 JST 最終閲覧)

*4:岩永直子 (2021).「大麻「使用罪」創設で激しい議論 座長「反対意見も反映して国民に提示」」『BuzzFeed News』(2021/06/02 JST 最終閲覧)

*5:アサ」『Wikipedia』(2021/06/02 JST 最終閲覧)

*6:Xiaozhou Luo, Michael A. Reiter, Leo d’Espaux, Jeff Wong, Charles M. Denby, Anna Lechner, Yunfeng Zhang, Adrian T. Grzybowski, Simon Harth, Weiyin Lin, Hyunsu Lee, Changhua Yu, John Shin, Kai Deng, Veronica T. Benites, George Wang, Edward E. K. Baidoo, Yan Chen, Ishaan Dev, Christopher J. Petzold, and Jay D. Keasling (2019). Complete biosynthesis of cannabinoids and their unnatural analogues in yeast. Nature, 567, 123–126.

*7:福田一典(銀座東京クリニック院長)(2015).「421)難治性てんかんとカンナビジオール」『「漢方がん治療」を考える』(2021/06/02 JST 最終閲覧)

*8:古代インドのヴェーダーンダ学派では、存在(सत् sat サット)+意識(चित् cit チット)+至福(आनन्द ānanda アーナンダ)= सच्चिदानंद saccidānanda サッチッターナンダという三位一体の基本概念が意識の本質だと考える。

*9:Tuber melanosporum」『Wikipedia』(2021/06/13 JST 最終閲覧)

*10:Giovanni Pacioni, Cinzia Rapino, Osvaldo Zarivi, Anastasia Falconi, Marco Leonardi, Natalia Battista, Sabrina Colafarina, Manuel Sergi, Antonella Bonfigli, Michele Miranda, Daniela Barsacchi, and Mauro Maccarrone (2015). Truffles contain endocannabinoid metabolic enzymes and anandamide. Phytochemistry, 110, 104-110.

*11:Ethan B Russo (2016). Beyond Cannabis: Plants and the Endocannabinoid System. Trends in Pharmacological Sciences, 37(7), doi:10.1016/j.tips.2016.04.005

*12:医療大麻については、日本語でも概論書が多く出回っている。たとえば、正高佑志 (2021).『お医者さんがする大麻とCBDの話』彩図社.

逆に、日本では大麻は依然として違法である一方で、いっしゅのブームになっている感もある。大麻は自然の恵みであるから万病を癒やし、天然素材でもある夢の植物だといった根拠のない礼賛にも注意する必要がある。

*13:米国科学・工学・医学アカデミー 日本臨床カンナビノイド学会の会員有志(訳) (2017).『大麻とカンナビノイドの健康への影響 エビデンス(科学的根拠)の現状と研究勧告』には、大麻カンナビノイドの精神・身体の両面への影響がレビューされている。身体の疾患には有効なこともあるが、精神の疾患に対しては有効性は確認されていない。

*14:Barney Warf (2014). High Points: An Historical Geography of Cannabis. Geographical Review, 104(4), doi:10.1111/j.1931-0846.2014.12038.x

*15:Ernest Small (2017). Classification of Cannabis sativa L. in Relation to Agricultural, Biotechnological, Medical and Recreational Utilization. Springer, 1-62.

*16:Ernest Small (2015). Evolution and Classification of Cannabis sativa (Marijuana, Hemp) in Relation to Human Utilization. The Botanical Review, 81(3), 189–294.

*17:バングー」『Wikipedia』(2021/06/02 JST 最終閲覧)より借用。

*18:蛭川立 (2011). 「ガンジスの砂の数ほど(意識のコスモロジー)」『風の旅人』43, 17-20.

*19:Alex Liebert (2011). 「INDIA #13 // “SHIVA RATRI ON BHANG LASSI”」『Vimeo』

*20:大麻取締法は、THCなどの向精神作用を持つ物質が含まれていない茎と種子は所持を禁じていない。

*21:GREEN ZONE JAPAN (2020).「明治時代の医療大麻」(2021/06/02 JST 最終閲覧)

*22:cannabisty (2020). 「明治期の「大麻煙草」広告」『cannabistyのブログ』(2021/06/02 JST 最終閲覧)

*23:松本俊彦(研究分担者)・小松﨑智恵・成瀬暢也・古川愛造・川畑俊貴・藤田治・梅本愛子・橋本望・加賀谷有行・横山理恵・船田大輔・村上真紀・宇佐美貴士・沖田恭治・谷渕由布子・嶋根卓也(研究協力者)(2019).「大麻依存症の患者を対象とした病院調査」『令和元年度 厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業) 分担研究報告書』121-149.

*24:Michael Wainberg, Grace R. Jacobs, Marta di Forti, and Shreejoy J. Tripathy (2021). Cannabis, schizophrenia genetic risk, and psychotic experiences: a cross-sectional study of 109,308 participants from the UK Biobank. Translational Psychiatry, 11(1), 211.

*25:Alessandra Paparelli, Marta Di Forti, Paul D. Morrison, and Robin M. Murray (2011). Drug-induced psychosis: how to avoid star gazing in schizophrenia research by looking at more obvious sources of light. Frontiers in Behavioral Neuroscience, 5, 1. doi: 10.3389/fnbeh.2011.00001

*26:Teri S Krebs and Pål-Ørjan Johansen (2013). Psychedelics and Mental Health: A Population Study. PLOS ONE, 8(8), e63972. doi: 10.1371/journal.pone.0063972.

*27:Rafael G. dos Santos, José Carlos Bouso, and Jaime E. C. Hallak (2017). Ayahuasca, dimethyltryptamine, and psychosis: a systematic review of human studies. Therapeutic Advances in Psychopharmacology, 7(4), 141-157. doi: 10.1177/2045125316689030.