原始美術の話を続けてきましたが、さて、昔の日本ではどうだったかというと、まあ人類学がいう昔というのは、何千年も何万年も前ですが、やはり縄文時代の土器や土偶です。縄文文化は世界に先駆けて土器を発明した文化だと言われていますが、この土器の文化が、とくに縄文時代の中期以降、独特の造形世界を花開かせました。世界中の他の文化でも、土器や土偶でこれほどユニークな文化は他に類を見ないといえましょう。
縄文文化の背景から、そこで発達した世界観と美術について「縄文文化の超自然観」という、長い解説記事を書きました。もう二十年も前で、スマホやタブレットではちょっと見にくいかもしれませんが、多数のリンク先にはさらにいろいろなコンテンツがあります。写真をクリックすると、拡大写真と詳しい説明が出てきます。あちこちの遺跡を訪ね歩き、博物館の人たちと議論し、写真を撮らせてもらいました。細かくいうと縄文時代中期の中部地方の遺跡が中心で、その後、訪れた、縄文時代晩期の北東北の遺跡での調査記録は、まだ整理できていません。しかし、このリンク先の記事だけでも、十分なコンテンツがあります。これを元に議論しましょう。