今回の授業ですが、有性生殖、動物の群れ、人間の婚姻と親族、といったテーマをもうすこし詳しく扱いたいと思います。
私の著書である『性・死・快楽の起源』をテキスト化したもののうち「『不倫』はなぜ禁止されるのか」という章をアップしました。
これだけで相当な分量になりますが、興味を惹かれた部分だけでも、目を通してください。そして、質問や意見を出してください。議論しましょう。
「不倫」というキャッチーな表現を使ったのは、読者の目を惹くためのマーケティングのようなもので、内容は、動物の生殖、動物の群れ、その中で、人間の婚姻、親族、社会について、一般的、教科書的な議論をしています。
本には書きませんでしたが、その後、勉強したところによると、中国の古典で「倫」というのは、妻が夫を尊敬することであり、妻が夫を尊敬しないことを「不倫」というのだそうです。昔の中国での、儒教道徳の思想です。「不倫」というと、既婚男性が、未婚の女性と性愛の関係になる、という組み合わせが多いのかなとも思いますが、これはまた一夫多妻制という、動物の配偶システムとも関係する、生物学的な問題でもあります。近代社会の倫理に反するようなことも書いていますが、これは、あくまでも進化生物学的であり、道徳的な善悪を論じているのではない、ということもお含みおきください。
じつはこの本は、二十年以上前に書いたものです。若気の至りで、文章表現に荒っぽさが目立ちます。下品な性的表現もありますが、わかりやすい表現を使おうとしただけで、読者に不快な思いをさせようという意図はありませんでした、ご容赦ください。文庫化の話もあったのですが、それは見送りました。いずれ書き直したいと思っています。
類人猿の配偶システム、一夫多妻とか一夫一妻とか、これを「ヒト上科の配偶システム」という表にまとめてみました。これも同時に参考にしてください。
それから、先週にアップした、脳の構造と機能についても、コメントや質問があれば、どうぞ。テーマがちょっと違いますが、同時並行で行きましょう。
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CE2021/10/25 JST 作成
CE2021/10/26 JST 最終更新
蛭川立