蛭川研究室

蛭川立の研究と明治大学での講義・ゼミの関連情報

個人用VR器機

没入感を作る仕組み

両眼立体視

すこし視点がずれた映像を二種類用意して、それぞれを左右の目で見ると、平面的な画像も立体的に見える。

立体視は訓練することによってもできるし、赤青眼鏡や、左右で偏光の異なる眼鏡によってもより容易に実現できる。

加速度センサ

バーチャルリアリティHMD(ヘッドマウントディスプレイ)が単なる3D映像用ゴーグルと異なるのは、第一に、HMDに加速度を検知するセンサーが内蔵されていることである。頭を上下左右に動かせば映像も上下左右に動くので、そのことが306度に広がる世界の内部にいるような没入感を作り出している。

加速度センサはスマートフォンにも内蔵されているので、スマホをゴーグルに入れるだけの装置でも、それなりの没入感はえれらる。

ルームスケールでの移動

ハイエンドのHMDの場合、センサーによってHMDの位置を測定することで、ルームスケールとよばれる空間内で歩いたり、しゃがんだりしても、それに追従して映像も動く。

じつは、両眼で少しずれた映像を立体視することよりも、身体の運動と視覚が連動していることのほうが、仮想現実への強い没入感を生んでいることは、HMDを装着した状態で片目をつぶってみればわかる。

各種のハイエンドHMD

個人用のハイエンドなHMDとしては、主に、SonyPlayStation、Oculus、HTC、WindowsMR、Pimaxなどの系統がある。

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ラッキング

ラッキングには

インサイドアウト方式だと、外部にカメラを設置する手間が省ける反面、精度は悪くなる。

スタンドアロンVR

VRはグラフィックの計算量が多いため、ハイエンドのゲーミングPCと接続する必要があった。いっぽう、スタンドアロンVRは、HMDの内部にコンピュータを内蔵しており、外部のPCと接続する必要がない。

PCと有線で接続する場合、ケーブルが邪魔になって動きが制限されてしまう。これを解決するには、いくつかの方法がある。

じっさいには計算量が多いと無線では伝えきれないという制約がある。PCと有線で繫ぎながら自由に動き回りたいのであれば、PCを身につけてしまえばいい。バッテリで駆動するノートPCでもいいのだが、バックパック型の背負うPCは、身につけるために特化したデザインである。

もちろん、バックパック型のPCであっても、ふつうのPCとしても使える。

HTCとOculus

HTC VIVE

www.moguravr.com

HTC VIVEはアウトサイドインの系統として発展してきた。この方法だと、足腰にトラッカーを追加して、よりリアルな身体運動を再現できる。

PCとの接続を無線化するサイドパーティー製品も開発されつつある。

Oculus/Facebook

Oculusはインサイドアウトの系統として発展してきた。

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初期のOculus Riftでは、外部に赤外線センサを有線で接続する必要があったが、Oculus Questでは完全にスタンドアロンになった。同時に、Oculus Linkで、PCとの接続も可能になっている。

OculusはFacebookの傘下に入った。好きなアバターを選んでVRSNSの世界に入るという可能性が広がるいっぽう、Oculusを使うためにはFacebookのアカウントを作らなければならず、新規に作っても実名でなければアカウントが凍結されてしまうといった問題が起こっている。

解像度と没入感

画像の解像度については「VR元年」のころはFull HDと同じで縦が1080だったが、どうしてもピクセルが不連続で画像に網目が見えていた。現在では縦が2000ピクセルかそれ以上になってきたので、この問題は解決しつつあるが、計算速度が追いつかないという問題がある。


この問題を解決する方法として、視線が向いている場所だけ解像度を高くして、視線が向いていない場所の解像度を低くするというアルゴリズムがある。HTC Vive Pro Eyeがこの方式を取り入れている。


  • CE 2017/02/26 JST 作成
  • CE 2023/02/07 JST 最終更新

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