この記事には医療・医学に関する記述が数多く含まれていますが、個人の感想も含まれており、その正確性は保証されていません[*1]。
この記事は特定の薬剤や治療法の効能を保証するものではありません。個々の薬剤や治療法の適法性については、当該国または地域の法令を考慮してください。
ダイエット・クリニックの麻酔薬
いつもの医療ダイエットクリニックに行く。いつもとは違う診察室に通される。そこにボンベが置いてあった。
亜酸化窒素と酸素を混合して吸引する装置
笑気、つまり亜酸化窒素である。いまではあまり使われなくなった麻酔薬である。しかし、百数十年前の、ウィリアム・ジェームズの宗教哲学も、亜酸化窒素からインスピレーションを得たものだというから、興味がある。
ボンベに見入っていると、唐突に医師から脱毛を勧められた。
医師「全身脱毛は二万円です」
自分「脱毛ですか?」
医師「オプションで笑気麻酔ができます。痛みというより不安が和らぎます」
自分「それはいいですね」
医師「オプションで五千円です。ぜんぶで二万五千円です」
自分「それはちょっとお高いですね。笑気麻酔だけで五千円でお願いできませんか」
医師「それはできません。そういう処方はできないんです」
自分「それなら笑気麻酔に、オプションで脱毛をつけて値引きをお願いできませんか」
医師「それは本末転倒です」
亜酸化窒素には、やはり麻酔薬であるケタミンに似た抗うつ作用がある。日本でも去年あたりからケタミンクリニックが始まったが、自由診療でケタミンを点滴すれば、一回で五万円が相場だ。
効果が弱いとはいえ、亜酸化窒素が五千円なら、脳の電圧が低下しているときには、ちょっとは試したくなる。亜酸化窒素は病院の外でも流通していたが、酸素なしで亜酸化窒素だけ吸ってしまうと窒息してしまう。日本では2016年に指定薬物として規制された。
その点、実績のあるクリニックだと、酸素との混合の比率も調整できるから、安心できる。五千円は、医師の立ち会いという保険金のようなものだ。
冗談はさておき、亜酸化窒素には抗うつ作用があるのだろうか。同じ麻酔薬でもケタミンが著効であることはよく研究されているが、亜酸化窒素のほうはじゅうぶんに研究されていない。
亜酸化窒素の抗うつ作用
journals.plos.org
2024年の論文「笑気ガス曝露による持続的な気分改善(SMILE):治療抵抗性うつ病に対する亜酸化窒素のランダム化プラセボ対照パイロット試験の研究プロトコル」。
1回の摂取で急速な抗うつ作用があるが、2日目以降、効果が消えていく、というのは、ケタミンによく似ている。
ケタミンよりも安価で安全な抗うつ薬として、亜酸化窒素(酸化二窒素)もルネサンスを迎えている。
記述の自己評価 ★★★☆☆
(つねに加筆修正中であり未完成の記事です。記事の後に追記したり、一部を切り取って別の記事にしていますが、遺伝情報のような冗長性がハイパーテキストの特徴であり特長だとも考えています。)
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